特集-インタビュー

第1回 津下一代先生が語る 新しい保健指導の目的とは

あいち健康の森健康科学総合センター
副センター長兼健康開発部長 医学博士
津下一代先生
昭和58年名古屋大学医学部医学科卒業後、国立名古屋病院内科(内分泌代謝科)、名古屋大学第一内科での臨床・研究活動を経て、平成4年愛知県総合保健センターに勤務、12年あいち健康の森健康科学総合センター、18年より現職。厚生労働省における「標準的な健診・保健指導プログラム」や「運動指針」等の策定に携わる。
あいち健康の森健康科学総合センター副センター長兼健康開発部長 津下一代先生

平成20年度から特定健診・特定保健指導がスタートします。保健指導を行う人はこの改正を、どうとらえたらいいのでしょうか?

保健指導者は、「保健指導によって人々の健康を支援するという役割がある」という、自分たちの仕事の目的を明確にできたということが大きなポイントです。
保健指導の仕事がどう社会に貢献できるのか、保健指導という働きかけが、人々の健康やよりよい人生に、どういう役割を担うのか、はっきりしたことがすごく大きいと思います。今回、国の施策として、これがしっかり示されたととらえることができます。


標準的な健診・保健指導をどういかす?

「標準的な健診・保健指導プログラム」により、このとおりに保健指導を行っていくことが求められているのでしょうか?

あいち健康の森健康科学総合センター 副センター長兼健康開発部長 医学博士 津下一代先生 今回の「標準的な健診・保健指導プログラム」はこうしなさいという強制的なものではありません。大枠の方法論は示されてはいますが、それぞれの保健指導者や保険者が、創意工夫して、相手に合わせて、最もいいプログラムを考えていくための材料なのです。
今までの保健指導では考えにくいルールかもしれないけれど、とりあえずスタートしてみる。そして、そのやり方が、どのように対象者に受けいれられるか、どのように人々が行動変容をおこしていくかを確かめながら、よりよい方法を改良していくことが、保健指導を発展させていくことになると思います。


大きな変化として、結果を出す保健指導、つまり評価されることになりますよね?

保健指導の役割が明確になり、それを実現していったことの結果としての評価だと思います。評価は、よい仕事をしていくために必要ですよ。たとえば、物を売ったり、何か作ったりといった仕事では、いい商品ができたか、それがたくさん人に喜んでもらえたかを考えながら仕事をして、結果的に売上につながることが評価になります。そして、結果がよくなるにはどうしたらいいか工夫していきますよね。
保健指導もある意味同じ、保健指導の質をあげるためには必要では。


今まで、保健指導者が評価を受ける機会はほとんどなかったですよね。だから、自分たちのやっていることが本当にこれでいいのかわかりづらい面がありました。たとえば、これからの保健指導ではどのような評価が考えられますか?

あいち健康の森健康科学総合センター 副センター長兼健康開発部長 医学博士 津下一代先生 私が勤務する「あいち健康プラザ」では、1日型の保健指導教室のあとに、指導を受けた人に受けてみてどうだったかというアンケートを答えてもらっています。それを見ると、指導者側として自分の話したことが相手にどう受け止められているのか、相手がやる気になったのかがわかります。これをチェックすると、次回はもっとこうしよう、もっと相手の心に届くように話そうと思うわけです。

面接のときに、最初はやる気がなさそうだった人がだんだんと前向きになって「(メタボリックシンドロームの解消のために)何をやったらいいですかね」と聞いてくるようになった場合は、保健指導がうまくいっているわけです。こういった変化は観察していてもわかることですが、これを記録することが大事です。

保健指導記録をきちんとつけること、それを評価していくことが「標準的な健診・保健指導プログラム」にも盛り込まれています。保健指導は相手があることだから、自分がいくら良い指導をしたと思っていても、相手には届いていないかもしれない。だから、相手の特性と自分の働きかけ、その結果、相手がどう動いたかを毎日毎日きちんととらえていく。むずかしい事例に対しては、どう対処したらいいのかを考えていく。こうした一つ一つの積み重ねが、よりよい保健指導につながるのではないでしょうか。


ところで、「標準的プログラム」で、保健指導にポイント制がとり入れられましたが…。

医療保険者さんがお金を払うとしたら、何に対してお金を払うのか。お金をかけた分に対して、どれだけ保健指導を行ったかの評価の目安としてポイント制が必要なものなのかもしれませんね。
別な見方をすると、ポイント制は、保健指導にコストという考え方をとり入れるひとつの手段とも考えられます。私たち保健指導者たちは、いい結果を出せば、どれだけコストをかけてもかまわないという少し甘い部分を持っていたのではないかと思います。でも、結果を出すことは大事ですが、そこにどれだけの投入コストをかけて結果を出すか、そこも大事だということではないでしょうか。より少ないポイントで結果がだせるように、保健指導を向上させていければいいですね。

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