特集-インタビュー

第4回 井伊久美子先生が語る 小集団活動を活用した保健指導とは

社団法人日本看護協会常任理事 井伊久美子先生 社団法人日本看護協会常任理事
井伊久美子先生
1980年神奈川県立看護教育大学校保健学科卒業。その後、東海大学健康管理センター、日赤医療センター保健部勤務を経て、横浜市に入職。在職中に国立公衆衛生院専攻課程、専門課程修了。1993年兵庫県立看護大学講師、2004年同大学教授、2007年より現職。

日本看護協会が開発した保健指導のための支援活動プログラム「生活習慣病予防支援モデル」が5月から全国で実施されています。このモデル事業とプログラムの内容を教えてください。

モデル事業自体については、こちらの概要をご覧ください。
(モデル事業概要〔PDFファイル〕)

このプログラムのポイントは、「グループ支援モデル」といって、対象者が自分自身の生活習慣の問題を発見し認識するための手段として、気楽に自分のことが話せるように小集団活動(グループワーク)を採用していること。
今、モデル事業でやっているところは、1グループ7〜8人で5グループ、1回に40〜50人ぐらいの参加者で行っています。グループといっても、グループカウンセリングみたいに、「さあ、生活を振り返って話しなさい」というのではなく、もう少し緩やかな開放的な小集団です。


小集団活動のよさはなんですか。

社団法人日本看護協会常任理事 井伊久美子先生 話し合いを通じて、他の人の話に「ああ、そうか」と思ったり、「いや、わしはそこまでやらんぞ」と思ったり、でも、「やらなければやっぱり検査値が悪くなるな」といったことを対象者本人が自分で考えていくことができることですね。そうしたことを通じ、本人自身が自分の生活を自分でうまくコントロールして、こうだったら悪くなるし、こうなったら良くなるということを自分で判断できるようになることが、このプログラムの目的です。

従来の保健指導では、病気の説明を保健師などが講義するというやり方でした。こうした保健指導で、「なるほど」と思って自分の生活を見直すところに向かっていく人もいます。けれども残念ながら、それは少ない。
一方、今回のモデル事業は、(もちろん必要な情報提供は行いますが)全4回の話し合いの場をもつプログラムになっています。第1回目「プロセスを見る」では、不健康な生活習慣から検査値が悪くなり、病気になる(また治っていく)事例を最初にいくつか挙げて、参加者のみなさんで話し合ってもらい、生活習慣病を自分に引きつけて考えてもらいます。

今回、特定保健指導の対象となる人のほとんどが、自分の体に異常を感じていない人です。健診では生活習慣病のリスクがあるという結果だけれども、対象者本人にとっては何とかしなければいけないという自覚がないわけです。そんな参加者に生活習慣の改善の必要性があるという認識をもっていただくためには、この1回目がすごく大切なのです。


対象者自身が自分の目線で生活習慣病になる「プロセスを見る」ということが大切なのですね。

はい。生活習慣病になるというのは、非常に長い経過があります。仕事の変化があったり、定年で退職したり、親の介護があったりという、「生活」そのものがあるわけです。その生活の変化が、病気とどうかかわっているかを知ると、「私は今あのへんだ」とか、「あの人の検査値がこうだということは、自分は次にこんな段階に入っていくのかな」とか、「このまま行ったらどうなるのだろう」というふうに、ご本人が主体的に考えられるようになるのです。


厚生労働省の「標準的な健診・保健指導プログラム」のように、初回時に「目標設定」といったことはされないのでしょうか。

先に目標を設定するというよりは、対象者同士が話し合って、自分の生活の不健康な部分を見直して、それを積み重ねていくのを支援するのが、このプログラムの特徴です。

これまでやってきた保健指導というのは、対象者に対して「今の状態は問題があるのはわかっているでしょう。だから目標を実行してください」となるわけです。対象者ひとり一人それぞれの今の状態を把握することは、面倒で時間もかかるし、エネルギーもかかるから、さあ目標だと。しかし、今ある状態をちゃんと知って対象者自身で道を選んでいかないと行動変容にはつながりにくいものです。自分がどうなっているのかを知れば、ご自分で目標設定されていくものですよ。


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