特集-インタビュー

第10回 京都大学経済学研究所 古川雅一先生が語る
非合理的な自分に気づき、幸せを手に入れるための学問「行動経済学」を
保健指導に生かすには

京都大学経済学研究所 古川雅一先生 京都大学経済学研究所 古川雅一先生
博士(経済学)。京都大学経済研究所で行動経済学、医療経済学の視点から、生活習慣と健康、医療・介護・年金の経済分析等を行っている。テレビ、ラジオ、講演、産官学連携プロジェクトなど多方面で活躍中。
●古川先生のホームページ
http://www.furukawamasakazu.com/
●主な著書
・「わかっちゃいるけど、痩せられない 〜メタボの行動経済学〜」
(NHK出版 生活人新書)
・「ねじれ脳の行動経済学」
(日本経済新聞出版社 日経プレミアシリーズ)【4月上旬発売予定】
・「ココロと行動の科学で矛盾を解消! メタボスパイラルから抜け出そう」
(東京法規出版)

先生は「行動経済学」をメタボ予防に応用する考え方を提唱されていらっしゃいますが、まず、「行動経済学」とはどのような学問ですか?

「行動経済学」は、言葉のとおり人間の行動に着目した学問です。従来の経済学では、「人間は合理的に行動する」という前提が置かれていましたが、研究が進んでいくにつれて、人間の「非合理的」な行動に着目することの重要性が指摘されるようになってきました。

非合理的な行動の中にも、ある程度、一定のパターンがある。たとえば、AとBを比較して、AよりBを選ぶほうが合理的な行動としましょう。でも、何らかのファクターがあると、なぜか人間はAを選んでしまう。ということは、言い換えるとそのファクターを分析することで、意図的に選ぶものを誘導することが可能ということなのです。

行動経済学は、このような非合理な行動の中に存在する一定のパターンを見つけ出す学問でもあり、また、社会全体や個人の利益を高めていくための方法を考える学問なのです。

経済学は実はお金を増やすことが目的ではなくて、本人の満足度を高める、満足度を最大化させるということが目的なんですよ。


先生はもともと歯科医師でいらっしゃったとお聞きしましたが、なぜ、このような研究をしようと思われたのですか?

京都大学経済学研究所 古川雅一先生 歯科医師免許とってから大学病院で約6年、診療していました。歯科医療分野においては医科よりも保険外診療や広告規制の問題、混合診療の問題などが話題になることが多かったので、自分の中でも、こうしたらより良い医療が提供できるのではないか、と考える機会が多かったんです。ただ、それはあくまで個人の感覚であって、学術的な裏づけは希薄でした。そこで、そのあたりのことをもう少しきちんと理解したうえで、考えていきたいと思ったのがそもそものきっかけです。

また、診療を通して患者さんを健康に導くということも大切ですが、病気になる前の段階の人も含め、より多くの人を健康に導くためにはどのような社会の仕組みが望ましいのかを研究したいと思ったのです。


今までにないメタボ予防へのアプローチなので、大変興味深かったんです。

行動経済学から健康について考えると、非合理的な行動でまず浮かぶのは、生活習慣病です。今は情報があふれていますから、多くの人はこれをしたら健康に悪い、ということは大体知っています。ただ、わかっているのに生活習慣を変えない、病気の悪化や医療費のリスクが高まるほうを選択してしまう、というのはまさに、非合理的だと思ったのです。そこにアプローチして、リスクを回避する方法を伝えていきたいと思ったのです。

バックナンバー
保健指導のアウトソーシングに関するアンケート調査 結果レポートの発表です
坂根直樹先生新連載「ストレス方程式で解決!簡単ストレスマネジメント」
血糖自己測定器と院内専用グルコース分析装置の違い
脱マショウノオンナ 『保健師だより』私流のコツワザ集
ニッポンの健康づくり 辻一郎先生 津下一代先生 インタビュー
協力企業
ニプロ株式会社 気をつけていますか?メタボリックシンドローム!!
ニプロ株式会社 気をつけていますか?メタボリックシンドローム!!

保健指導向上委員会の運営を応援してくれる協力企業を募集しています。詳しくは、こちらまでお問合せください。

ad@hokensidou.net
地域保健
かいごweb
東日本大震災に関する情報 地域防災力向上を目指す情報サイト「webside.jp」
SNSログイン
保健指導向上委員会SNSにログインする
SNS新規登録SNSについてもっとくわしく
委員会からのお知らせ