特集-インタビュー

第13回 順天堂大学医学部総合診療科准教授 福田洋先生が語る
『働き盛り世代に有効で感謝される予防医療のための学生教育』について

順天堂大学医学部総合診療科准教授 福田洋先生 順天堂大学医学部総合診療科 准教授
医学博士
福田洋先生
1993年山形大学医学部医学科卒業。99年順天堂大学医学部大学院修了。東京・八重洲総合健診センター健診部長、順天堂大学医学部総合診療科講師を経て現職。2008年日本産業衛生学会奨励賞受賞。日本人間ドック学会人間ドック専門医、日本総合健診医学会総合健診専門医、日本医師会認定産業医。さんぽ会事務局長。ユニークなテキストや魅力的な講義への人気も高い。

福田先生は、多方面にてご活躍されていらっしゃいますね。

確かに順天堂大学での内科医や健診医業務、都内事業所での産業医業務、「さんぽ会」事務局、大学での教育など、ばらばらにみえるかもしれませんね。でもこれは働き「盛り世代の予防医療の推進」にすべてつながってくること、と考えています。私の活動は、手順やプロセスを大事にしているようにみえるかもしれませんが、目的達成のために、どのようなプロセスをとるかということには実はあまりこだわりがありません。もちろん、最終的に良い結果を出すために、トップダウンとボトムアップの両方のアプローチが必要です。

たとえば、私が事務局をしている「さんぽ会」では、産業保健にかかわる様々な企業・他職種の人が参加して、活発に意見交換・交流をしています。産業医・産業看護職だけでなく人事・労務担当者など、職種を限定していないのが最大の特徴です。健康管理、健康教育、メンタルヘルス、過重労働、口腔保健、疾病管理、VDT対策、分煙などをテーマにしています。この活動も、先ほど話した目的のための重要なパーツだと考えています。この会の目的は「あらゆる産業保健に携わる組織、人と緊密に連絡連携して、職場における保健の向上、推進及び職場環境の改善に寄与するために会員相互の情報交換・研究・親睦を図る」であり、こうした場が産業保健の現場に必要不可欠と感じているからです。

いまは月例会の出席者は70〜100人くらいになりますが、私が事務局を引き継いでから1年後に出席者が18人になったことがありました。その時に、この会は「何をやりたかったのか」と問い直しました。会を維持することでなく、現場の産業保健スタッフが困っているテーマについて話し合うという原点を大事にしよう、そのニーズを満たすために、アクティブメンバーが中心に幹事会をつくりました。目的が定まると、自然と人は集まります。今では、将来産業保健での就職を志す学生さんも参加するようになり、産業保健を授業で教えた学生が卒業して、様々な経験をしたのちに、企業に就職し、一緒に社員の健康について考えているという一連の流れが感じられる場になっています。さんぽ会は、毎月月例会を開催していますので、興味のある方のご参加をお待ちしています。 (http://sanpokai.umin.jp/)


さんぽ会のお話しでもでましたが、予防医療において「他職種の連携」についても、力を注いでいらっしゃるように思えます。

「働き盛り世代の予防医療」にとって、「連携」は非常に重要です。中でも産業医と連携した保健師の役割はますます重要になると思います。過重労働やメンタルヘルスに問題を抱えた企業に対して、企業側にこうした問題の解決のために保健師の雇用をお願いしたことがあります。週2回の1名嘱託からスタートし、保健師の活動の「効果」を認識していただき、現在3名体制へ増員となりました。いまは、メンタルヘルスへの対応はもちろん、ハイリスク者への面談、社員全員の健康管理、新人・管理職の健康教育、健康情報の提供など、充実した保健サービスを提供してくれています。企業側も、社員の健康度をあげ、生産性の向上に役立っているのを実感していると思います。産業医の重要な仕事の1つに、産業看護職の有用性をアピールし、ポストを作り出すということがあると思います。

産業看護職への社会的なニーズは十分ありますが、法制化されていないこともあり、特に中小企業では充分に認知されているとはいいがたい状況です。予防医療マインドを持った看護職を育てると同時に、企業への就職口は待っているだけでなく、つくっていかなければいけないと思っています。


福田先生は看護学生に授業をされていらっしゃいますが、学生は産業保健に関心はありますか。

東京医科歯科大学教授 田中博先生都内のいくつかの大学で保健師教育に関わっていますが、順天堂大学医療看護学部では、3年生の産業保健の講義を担当しています。今後、保健師のカリキュラムが選択制になると、また状況が変わるかもしれませんが、産業保健に関心をもってもらい、携わる人たちを増やしていくことも非常に大切なことだと思っています。

全国で看護師は80万人、保健師は4万人、産業看護職は非常勤を入れて8000人、専属は2500人くらいと言われています。もしも100人の看護師村があったら(笑)、看護師94人、保健師5人、産業看護職はたった1人。まだまだ少ないですね。毎年、看護学生に産業保健の授業の前後でアンケートを取るのですが、授業前に「産業保健に興味がある学生」は23%ですが、授業後「(臨床経験後も含め)将来産業看護の業務をしてみたい学生」は62%でした(2009年福田調べ)。卒後すぐに企業で働きたいという「本気モード」の学生も6%。1学年で学生は200人いますので、12人がそう思ってくれたわけです。実際ところ、卒後すぐに企業に就職する学生は例年1人前後です。

予防医療、産業保健に触れる機会が少ないだけで、興味を持つ学生は多いという印象を持っています。産業保健の重要な担い手となる産業看護職を育てていくことも、大学の重要な役割ではないかと思っています。


授業はどんな内容をなんでしょうか。

産業保健における社会的な重要性などはもちろん、他にも学生へのアンケート結果を「読者の声」コーナーとして授業の中で紹介しています。「企業の給料はいいですか?」「どうやったら就職できるんですか?」といった学生からの生の質問に答えたり、実際の就職のケースや、ネットを用いて実際の就職活動の条件を入れて検索してみせたりします。しかし現実は、企業も学生も真剣によい人材や職場を探していて、最後は人づての情報が最も大事とお話ししています。また「産業医の1日」と題して、実際の衛生委員会、職場巡視、面談などの仕事の様子を写真満載でお話ししています。学生が興味を持つ具体的な話を入れることで、産業保健の面白さ、やりがい、重要性を伝えていくように工夫しています。

ちなみに後ほど、看護学生が地域看護の実習カリキュラムで、人間ドックの見学に来ますが、スモールグループの講義をします。ご覧になりますか? (もちろんです! リポートはこちら)


 

バックナンバー
保健指導のアウトソーシングに関するアンケート調査 結果レポートの発表です
坂根直樹先生新連載「ストレス方程式で解決!簡単ストレスマネジメント」
血糖自己測定器と院内専用グルコース分析装置の違い
脱マショウノオンナ 『保健師だより』私流のコツワザ集
ニッポンの健康づくり 辻一郎先生 津下一代先生 インタビュー
協力企業
ニプロ株式会社 気をつけていますか?メタボリックシンドローム!!
ニプロ株式会社 気をつけていますか?メタボリックシンドローム!!

保健指導向上委員会の運営を応援してくれる協力企業を募集しています。詳しくは、こちらまでお問合せください。

ad@hokensidou.net
地域保健
かいごweb
東日本大震災に関する情報 地域防災力向上を目指す情報サイト「webside.jp」
SNSログイン
保健指導向上委員会SNSにログインする
SNS新規登録SNSについてもっとくわしく
委員会からのお知らせ