特集-インタビュー

第17回 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
健康増進研究部長 宮地元彦先生が語る
「+10(プラス・テン)」からはじめる身体活動支援のアプローチ
〜アクティブな暮らしにつなげるために

宮地元彦先生 国立研究開発法人 
医薬基盤・健康・栄養研究所
健康増進研究部長
宮地元彦先生

1965年愛知県生まれ。鹿屋体育大学スポーツ課程卒業。同大学大学院終了後、川崎医療福祉大学助教授、米国コロラド大学客員研究員を経て、2003年より独立行政法人 国立健康・栄養研究所(現:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)に勤務。現在に至る。

「健康づくりのための身体活動」をテーマに研究に取り組み、厚生労働省の『エクササイズガイド』や『健康日本21(第2次)』の策定などに携わる。テレビや雑誌、各地の講演会など多方面で活躍するほか、任天堂『Wii Fit Plus』の開発にもかかわり、アドバイザーも務めた。

○健康増進研究部HP
『健康づくりのための身体活動基準2013』『アクティブガイド』のPDFを掲載しています。
http://www0.nih.go.jp/eiken/programs/program_kenko.html

○標準的な健診・保健指導プログラム(改訂版)及び健康づくりのための身体活動基準2013も基づく保健事業の研修手法と評価に関する研究HP
研修会講師用コア教材として『実践者育成研修プログラム<技術編> 各論(身体活動:指導の実際)』のPPTファイルを掲載しています。
http://tokutei-kensyu.tsushitahan.jp/deliverable/teaching_materials

日本人は太りやすくなった!?
「+10(プラス・テン)」に込められた思い


まず策定にかかわられた『健康づくりのための身体活動基準2013(以後、『身体活動基準2013』と表記)』及び『アクティブガイド ―健康づくりのための身体活動指針―』(以後『アクティブガイド』と表記)の概要と意義について、お聞かせください。

宮地元彦先生今回の策定で、まず大きなポイントとしてあげられるのは、「身体活動」という言葉をタイトルに取り入れたことです。2006年度版では『健康づくりのための運動基準』としていましたが、今回は、運動だけでなく生活活動を含めて、からだそのものを動かすことが重要である、ということをメッセージとして強く伝えたいという意図がありました。

ふたつ目として、これまでのガイドラインはおもに生活習慣病の予防を目的としてきましたが、今回は「健康寿命の延伸」という方針のもと、身体活動を通して、認知症の問題やロコモティブ・シンドローム、サルコペニアといった運動器の問題をどう予防していくかという視点を持ったことです。


「+10(プラス・テン)」というメッセージも大きく打ち出されています。

今回の『身体活動基準2013』及び『アクティブガイド』には、新しい点がふたつあります。ひとつは「65歳以上の高齢者」を対象としたガイドラインを作成したこと。成人層(18〜64歳)よりも基準をやや下げて、高齢者がより長く自立した生活を送るために「1日40分体を動かしましょう」という基準を設けました。

もうひとつが、その「+10(プラス・テン)」という考え方を取り入れたことです。これは「今よりも10分多く、からだを動かしましょう」というメッセージで、運動習慣の有無にかかわらず、すべての世代に対して、身体活動全体の方向性を示したものです。
学術的な正確性や効果は大事ですけれども、みんながやりやすい、これなら達成できると思えるものにする、「効果」と「実現可能性」、その2つのバランスを考慮して作ることを心がけました。


今回の『身体活動基準 2013』のなかでも指摘されていますが、1日の歩数の平均値が約1,000歩減少しています。歩数が1,000歩減るということは、具体的にどんな影響があるのでしょうか?

「歩数」は、運動でも生活活動でも増える、身体活動全体の指標となるものです。日本では歩数の減少傾向が続き、15年ほど前と比較すると約1,000歩の減少となりました。この「約1,000歩の減少」が意味しているのは、「歩く時間が約10分減っている」ということであり、その分だけ1日あたりのエネルギー消費量が減っているということです。消費量は体重などで異なりますが、例えば私のような体重65kgの人なら約30kcal分の消費量が減っている、ということになります。

その数値だけ聞くと、10分くらいなら・・・30kcalくらいなら・・・と考えがちですが、それが365日積み重なると、エネルギー消費量が年間で約10,000kcalも減り、体重が約1.5kgも蓄積されやすくなるという状態につながります。いうなれば、15年前と比べて、日本人は太りやすく、肥満になりやすくなっている。それが歩数減少の大きな懸念であり、問題でもあるのです。

今回の「+10(プラス・テン)」は、減ってしまった10分を取り戻すということであり、「15年前の日本人にできていたことが、今の日本人にできないはずがない!」という意味も込めています。


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