特集-リレー連載
タイトルどおりSNS保健指導向上委員会の現場に関わる会員の方を中心に、リレー形式で連載記事を執筆いただく新企画。
毎回、執筆いただいた方に「次はこの人にこれを聞きたい!」をお聞きし、バトンをつないでいきます。

第1回は、保健指導向上委員会事務局⇒運天勲さん へのバトンです。

第1回 「1からとり組む 保健事業・保健指導の評価」

NPO法人保健事業支援会 代表理事 運天 勲(うんてん いさお)
(SNSハンドルネーム:ウータン)
沖縄県出身
2002年NPO法人保健事業支援会を設立。厚生科学研究、国保中央会・連合会等の事業に協力。
京都府地域保健計画策定委員をはじめ各地の地域保健計画策定に参加。
また市町村や健保等各地域の保健事業の企画・評価等のアドバイザーとして活躍。
所属学会 日本看護管理学会、日本看護科学学会、日本公衆衛生学会
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まず何をすべきか

評価を行うため最初に何をすべきかと問われると、次の3つが上げられます。

1、事前に企画・計画を立て、緻密に検討する。
2、何をどう評価するか明確にする。
3、担当者が複数いる場合、各自によるバラツキがないようにする。

これは、評価する方法ではありません。評価を行える体制を先に整えることが必要なのです。
事前検討に時間をかけ、緻密に考え抜いたものほど良い結果を生み出します。逆にここをおろそかにすると、後々どのような評価手法を用いようともそれなりの結果しか得られません。

先ず評価を行おうとするならば、事前に評価する体制を整える。そこからスタートです。
この体制を作り上げることは、理解はしても実際に行うことは簡単ではありません。それは、これまでの業務の流れを変えることになるからです。長年行ってきた流れを変えるには組織として理解と行動が求められます。それ故「評価する体制」という言葉を用いたのです。
評価の本質−事業をより良い方向に改善する仕組みを作り上げるため−を考えると正しい評価を行うには、体制づくりは避けて通ることは出来ません。

さて、事前に評価する体制を整える覚悟が出来たとして、先に上げた3つを要約しましょう。


「事前に企画・計画を立て、緻密に検討する。」

実際の現場で行われる準備や指導が、全て計画書に基づいて行われる以上、計画書の出来具合によって評価のほとんどが決まります。
目的・目標・評価指標の整合性がきちんと取れていること。計画書では整合性が一番重要です。そして、目標達成のための手段、方法、評価指標を取り違えないことです。

良くできた計画書は、何をやりたいのかが、明確に伝わってきます。作成者の意志が伝わる計画書。このような事業が失敗するわけはありません。


「何をどう評価するか明確にする。」

評価を行うに際してどうしても譲れない部分がありますか。この部分こそ自分たちが求めているものです。ここを見つめ直しどのような評価指標を当てると満たされるのか自らの持つ資源(人材、予算、設備等)を検討しながら評価指標を決定します。評価指標は測定可能でなければいけません。そして、評価指標の達成度合いが目標の達成度を表している関係が成り立っていることが重要です。


「担当者が複数いる場合、各自によるバラツキがないようにする。」

担当者が複数いる場合、担当者の力量や経験によるバラツキをなくする。これは、スキルの差ではなく、関わる全員が同じ目線で見ることを指しています。
特に、保健師、栄養士、運動士など専門領域の異なるスタッフが関わるときには重要で、全員の意思統一がはかれるようカンファレンスの機会をことあるごとに設けていくことを指しています。


検査値の結果を検定にかけることが評価ではない

体重や腹囲など検査値の変化を統計的検定にかけることが評価だと思っている人が多いのですが、大きな間違いです。
検査値指標の変化は、指導内容を含めたあらゆる効果の総合的な結果を表しているのです。

保健専門職の方が望んでいることは、自分たちの行った指導が効果的であったのかどうかにつきると思いますが、検査値指標だけでそれを論じるためにはコントロール群(対象者と同一条件を持つ指導を行わなかったグループ)のデータが必要です。コントロール群なしでは、指導内容の効果について論じることは出来ないので、当然望む評価を得ることが出来ません。

また、コントロール群を備えている場合でも、検査値の変化だけでは指導内容のどこをどのように直せばもっと良い結果が得られるのか、あるいは指導内容のどこの部分が足りないのか、までは分かりません。
(検査値だけの評価では、指導を良く守り頑張っている人、行動変容を起こし生活習慣が改善している人であっても、検査値の結果が悪ければ効果無しとして切り捨てられてしまいます。この点が臨床と保健では大きく異なる点で、保健という領域では検査値よりも生活習慣や行動変容などに焦点を合わせた指導の評価が求められていると思っています。)

正しい評価を行うためには、コントロール群を常に用意し、検査値を含めた指導内容に関するデータを加え、総合的に判断していく事が求められます。
しかし、実際の保健指導の現場において、評価のためとは言え常にコントロール群を用意することは現実的ではないでしょう。
ですから、コントロール群なしで指導効果判定を行う仕組みを作り上げていくことが必要になってきます。
(「コントロール群なしで指導効果判定を行う仕組み」についてご要望をいただきましたら、また回を改めて説明していきたいと思っています)

きちんとした評価を行うためにはこのように「体制」や「仕組み」をつくることが必要です。
そして大切なことは、これらが事業前に行われていること。「体制」や「仕組み」を整えることが、よりよい「評価」を導き出すことになります。


次回予告

運天勲さん⇒富永典子さんへのバトン
「今行っている事業の取り組み、とくに支援方針等について」聞いてみたいと思います。

次回をお楽しみに!

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