特集-リレー連載
タイトルどおりSNS保健指導向上委員会の現場に関わる会員の方を中心に、リレー形式で連載記事を執筆いただく新企画。
毎回、執筆いただいた方に「次はこの人にこれを聞きたい!」をお聞きし、バトンをつないでいきます。

第3回は、富永典子さん⇒伊藤孝子さん へのバトンです。

第3回 「フリー管理栄養士としての健康支援の現場へのかかわりかた」

管理栄養士・島根県糖尿病療養指導士 食のアトリエbene主宰
伊藤 孝子(いとう たかこ)
(SNSハンドルネーム:bene(ベーネ))
平成元年、地域活動栄養士として活動開始。H17年「食のアトリエ bene(ベーネ)」開業。現在に至る。 H17年公衆衛生事業功労賞受賞・H21年松江市政功労賞受賞
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伊藤孝子さんからのひとこと
私は、フリーの管理栄養士です。いわゆる開業栄養士。
働く場は、市町村・事業所・医療機関・教育現場・公民館・マスコミ・スポーツクラブ・料理教室や健康教室の主宰などなど。継続的な仕事のほか、単発で引き受ける仕事など多様です。昨年は、東京法規出版さんで、「食事バランスアップガイド」の編著として関わらせていただきました。
富永さんからのバトンは、管理栄養士ならではの目のつけ処や支援のポイントとのこと。これにプラス、フリーの立場として、さまざまな要望にあわせた健康支援・保健指導の「現場」にかかわってきたことで培ったものも紹介できればと思います。

依頼を受けたら念入りな情報収集を!

仕事の依頼を受けたら、まず何を目的としたものなのかをしっかりと把握すること。そして次に、対象者の年齢構成・性別、集団によっては、独身者・単身赴任者、独居・複合家族、勤務形態(交代勤務・通常勤務)仕事の内容など、担当者がわかる限り、できるだけ詳しく教えてもらいます。
対象者が、自ら参加しようと思って集まった集団なのか、参加させられて集まった集団なのかでも、支援の方法は変わります。また持ち時間も重要です。20〜30分くらいの時や、時には2時間以上いただける時もありますので時間にあわせて構成を考えていきます。

こうした情報をもとに、教室・講座の中身を担当者とともに話し合っていきます。何に気付いてほしいか何を伝えたいのか、どこに焦点を絞って話そうか、異なる多数の対象者には多くの情報を伝えるべきかなど悩むところ。また、担当者とのよりよい関係をつくっていくことも重要です。同じ視点に立って教室・講座をつくっていけるかが成功のカギといっても過言ではないでしょう。

フリーという視点から、内部では気がつかないことを発見できることがあります。例えば職場への支援の場合、売店に何が売られているのか、社員食堂のメニューはどうか、仕出し弁当の内容はどうか、社内にある自動販売機で手に入るのは何か、寮の食事はどうか、寮の近くにあるコンビニで手に入るのは何かなど、できる限り情報収集をして、具体的に職員の現状に沿った話ができるように心掛けています。


具体的な支援で心がけていること

教室・講座の内容の大筋は決めますが、現場での対象者の反応をみながら、指導方法は路線変更していくこともあります。空気を読みながら、参加者にのってもらうことも意識します。とくに集団は雰囲気が大切です。楽しくなくては興味が沸きませんから。「最終的な目標(健康支援)」への「道筋(指導の仕方)」はいろいろあっていいのではと。

指導用媒体1指導用媒体2そのためにも、現場の状況にあわせていつでも路線変更できるよう指導の「引き出し」を増やす努力をしています。パワーポイントを使ってできるだけ多くの情報を目で見て伝えたほうがいいのか、指導用媒体(写真参照:私がよく使用する「ちっちゃいず」や料理カードや実物展示)などを使って話をしたほうがいいのか、チェックシートなどを使ってワークをしたほうがいいのか、限られた時間がどうすればより効果的になるのか、毎回作戦を練ります。
これがまた楽しいと言えば楽しいのです。


事例紹介

食事バランスガイドの活用の実際

食事バランスガイドの認知度は結構高く、日頃の食生活が30〜40点の方々には、「食生活を見直す」ことを理解してもらいやすいようです。教室・講座では、まず食事バランスガイドについて簡単に説明して、自分のこまの大きさを決めてもらいます。次に、みんなで一緒に食事を思い出しながらチェックしてもらいます。食事の内容を思い出せない人は思い出せない食べ方をしていることに「気付く」ことだけでもいいようです。

出来上がったこまを見ると、どこが足りなくてどこが多いのか一目瞭然なのがいいところ。こまを塗るときに、朝・昼・夕で塗り分けてもらうと、一日の食事の配分比まで一目でわかります。夕食が大半を占めていることが見えたりもします。また、こま本体のチェックも大事ですが、それより前に、こまの「ひも」のチェックが大事だと思います。こまのひもは200kcalまで。それに対して自分のひもがどのくらいなのか、お菓子・お酒・嗜好飲料すべて合わせてざっくり計算してもらうと、大半の方が、400〜500kcalはとっているのに気づき驚かれます。こうしたワークのあとは、「こまを塗って気がついたこと」「今日から出来ること」を書き込んでもらうのにさほど苦労はしません(笑)。


定期的に健康支援を行っている事業所への働きがけ

ある事業所では、最初は個別相談を実施していましたが、業務が忙しく時間がとりにくくなり、各課ごとに職場へ出向き、出前講座をすることになりました。各課が月1回安全衛生について行う会議の中に時間をもらっての講座です。20〜30分で収まる小さなテーマで「お品書き」を作り、担当者にそこの中から選んでもらい、希望に沿ったテーマで話をさせてもらっています。今のところ16種類のメニューを準備しています。パワーポイントで準備していますが、人数の多い課ではプロジェクターを使いますが、少ないときにはパソコン画面を直接見てもらったり、拡大プリントして紙芝居のようにしています。

日頃いつも一緒に仕事をしてよく知っている者同士が同じ話を聞くということは、とても意味があると思います。そして、課によって特徴があります。お酒を飲む人が多い課と甘い物好きな課と。それぞれに合った話ができるのも効果的かと思っています。

この事業所には長年通っているため、近年は新入社員研修でも食事の話をする時間をもらいました。この事業所の職員の生活をよく知ったうえで、それを踏まえて新入社員へ話ができます。何事も最初が肝心! このような新入社員からの継続的な健康支援は、職場全体のポピュレーションアプローチになるのでは考えています。


保健指導に携わる方にはいろいろな立場の方がいるかと思いますが、このような健康支援の「現場」を知ってもらうことで、今の業務への何かしらのヒントになれたら幸いです。私自身はフリーの栄養士として、集団指導や個別相談でいろんな対象者と出会います。その方々に「栄養士」としていかにその人の心に残していただけるか……いつもそれを考えて日々活動しています!


次回予告

伊藤孝子さん⇒堀井裕子さんへのバトン
「保健指導における他職種との連携の重要性や必要性などについて」聞いてみたいと思います。

次回をお楽しみに!

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