特集-リレー連載
タイトルどおりSNS保健指導向上委員会の現場に関わる会員の方を中心に、リレー形式で連載記事を執筆いただく企画。毎回、執筆いただいた方に「次はこの人にこれを聞きたい!」をお聞きし、バトンをつないでいきます。

第4回は、伊藤孝子さん⇒堀井裕子さん へのバトンです。

第4回 「保健指導における他職種との連携の重要性や必要性などについて」

大阪府豊中保健所 地域保健課 難病チームリーダー 保健師
堀井 裕子(ほりい ゆうこ)
(SNSハンドルネーム:クモリン)
1981年に大阪府に入庁。4ヶ所の保健所勤務のあと、2002年から昨年の3月まで、府立健康科学センターに出向。2008年4月からの特定健診・保健指導に関しては、プログラムの準備・実施・評価と追いまくられながら突っ走ってきました。2009年4月に古巣の保健所現場で、特定疾患(難病)チームでがんばっています。
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堀井裕子さんからのひとこと
ウータンさん→とみりんさん→ベーネさんへとつながれてきたバトン、めちゃくちゃ重くて、なかなか筆がすすみませんでしたが、これも貴重な体験と思いお引き受けしました。
私へのお題は、「他職種との連携」。ここでは保健指導というよりも、仕事をする上での他職種との連携について今までやってきた仕事を振り返りながら私見を述べさせていただきます。

就職した当時の私のまわり

私が就職した1981年(昭和56年)は、老人保健法の出来る直前で大阪府では1市1保健所近くあり、母子、結核、成老人、精神など担当地区に住む住民(1万から2万人)を対象に保健師活動をしていました。

府の保健師はどこに行っても人数が多く、声(発言力)も大きかったので、気をつけないと保健師だけで事業や仕事を動かしてしまう傾向がありました。同じ保健所内でも、1人職種が多い管理栄養士や精神衛生相談員、放射線技師、検査技師との意思の疎通が悪いためのトラブルがよくありました。理由の一つには、お互いの仕事が見えない、知らない、わからないという点があります。解決方法は、一緒に仕事をし、課題を共有することに尽きます。そして、相手から「報告・連絡・相談がない」と怒る前に、まず自分がやれているか振り返ってみること。案外、人に怒る人ほど自分は棚上げが多いです。自分から動けば、相手はおのずと動き出すことを学びました。


高齢者在宅関係機関ネットワークをとおして

2ヶ所めの保健所への異動の頃は、介護保険はまだまだ先のことで、認知症の老人や寝たきり老人はまだ利用できる福祉サービスは少なく、特養も100人待ち状態、在宅で見ていくのは家族の犠牲と負担に負うところが大きかった時代です。

ここの保健所では、寝たきりや認知症の高齢者を地域で支援するための保健所・市・医師会・歯科医師会・薬剤師会・介護福祉施設・家族会などさまざまな機関が同じテーブルについて協議を重ねるという、府下でも先駆的なネットワークがありました。それまで自分1人で抱え込んで悶々としていた多問題のケースなどを、このネットワークを活用することで、事例検討にあげて専門外来につないだり、往診に行ってもらったり、通所のデイサービスとの連携をうまくとったりすることができました。こうした成功体験によりチームで支えるメリットを実感できました。

ネットワークを通じて、保健所内の他職種との連携から、他機関との連携へと広がった時期で、「保健師って何者? 何してくれるの?」という疑問に、一緒にケースを通してかかわることで保健師の役割を理解してもらいました。

若気のいたりで? すぐ一生懸命になる私は、市の高齢福祉課長(できたお方でカリスマ事務局)に「堀井さん、保健師さんは先頭車両でケースを引っ張ったらあかん、後方から押す機関車の役割が大事なんちゃうか? ケースが見えへんわ。主人公は患者さんや家族やで」と諭され何度となく反省し軌道修正したことか(この方、保健師より保健師のこと知ってる?)。いろいろな方がたと一緒に仕事をすると、思考や見方の幅が広がり仕事が楽しくなります。


健康科学センターでの他職種との協働

さて、センターでは保健指導班長として2002年から7年間お世話になりました。保健所時代の日常の仕事とはまったく違い、循環器健診、保健指導、健康教育などどちらかというと産業保健に近いお仕事でした。健康科学センターの前身である成人病センター集検1部の頃から40年以上続く疫学研究(脳卒中・心筋梗塞等の発症調査等)にもかかわり公衆衛生の歴史も肌で感じることができました。

私が、異動して最初に面白いと思ったのは、企業の定期健診などをおこなう健康度測定健診の指導プログラムでした。行動科学の考えを元に主に保健師・管理栄養士を中心に中村正和部長のアドバイスのもと自前でテキストを作って使っていたことです。ところが、受診者は毎年企業の定期健診として受けるので、毎年同じテキストではブーイングの嵐。毎年、行動科学のコンセプトは変えずに、テキストの改良を重ねていきました。現在バージョン6か7になったでしょうか? このツールやプログラムは市町村や企業などへ実費で提供し、活用していただいています。

2008年の特定健診・保健指導を前に2007年に暫定版を見て、大筋で特定保健指導は従来健康科学センターで行ってきた内容に近いと感じました。
健診当日の検査結果から階層化をおこない、保健指導の対象者には当日初回面接まで出来るプログラムを作り上げました。鉄は熱いうちに打てということで、受診企業に説明し、了解が得られれば30代から特定保健指導の対象者にしてもらっています。また、従来どおり非肥満のハイリスク者も個別指導を実施しています。

しかし、財政難の大阪府では、就任直後の新しい知事の元、財政再建プログラムが打ち出され、特定健診・保健指導など新しい事業予算はすべて7月までストップするなど、いろいろな苦しい局面もありましたが、毎年のプログラム改良やツールの作成以上に、この特定健診・保健指導に関してはセンターの全職員(運動フロア職員・事務職・SE・看護師・カウンセラー・検査技師・放射線技師・などなど)あげて協力して作り上げたものです。
特にシステムの予算がまったくなかったため、SEさんは、自前のプログラムやXMLファイル作成に苦労してもらいました。

目が回りそうな2008年でしたが2年目の評価の年を後進にゆだねてセンターを後にしました。ガッツあふれるスタッフですから、センターの理念をひきついで発展させてくださると信じています。健康科学センターは、技術職の集団で多くの非常勤職員が支えてくれています。

健診ひとつ実施するのも、スタッフの協力とチームワークが不可欠です。いろいろな不協和音は早めに察知して解決していく。それにはフランクに意見を言える雰囲気作りや場があることが必要です。センターでの7年は突っ走ってきた感じでゆっくりみんなの意見や愚痴を聞けていたか、はなはだ心もとない感じですが、いろいろな部署との調整(特にドクター)に明け暮れていたのも懐かしいです。


人とつながれば、可能性は無限大!!

どんなに有能な人も1人では限界があります。特に保健指導やケースワークなど対人サービスの仕事をされる方。うまく連携が取れると本当にうまく歯車が回ります。しかし、世の中そんなやつらばかりじゃないよ、とお嘆き・お怒りの諸兄諸姉も多いことでしょう。 でも、諦めないでください。たまたま出会った1人の人間だけで、保健師はだめ〜、栄養士は×って思われるのは心が痛い。諦めずにタッグを組んでみてほしいのです。先入観を捨て自分の感じたものを信じましょう。
一つのつながりが次のいい出会いを生むものです。


次回予告

堀井裕子さん⇒高橋章さんへのバトン
高橋さんには、運動への動機づけや長続きのコツなど伝授していただきたい!できれば、メタボ解消のための運動などもご紹介くださるとうれしい!

次回をお楽しみに!

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