特集-リレー連載

タイトルどおりSNS保健指導向上委員会の現場に関わる会員の方を中心に、リレー形式で連載記事を執筆いただく企画。毎回、執筆いただいた方に「次はこの人にこれを聞きたい!」をお聞きし、バトンをつないでいきます。

第5回は、堀井裕子さん⇒高橋章さん へのバトンです。

第5回 「体を動かそう! 日常での活動量の増加と運動習慣への働きがけために」

医療法人豊岡会豊橋元町病院 健康運動指導士
高橋 章(たかはし あきら)
(SNSハンドルネーム:メタボトレーナー)
昨年4月より職場を変え、生活習慣病改善から介護・療養の世界へ。これまでとはまるで違う業務に日々悪戦苦闘・・・。たまに入る介護予防での運動指導や自治体の保健指導での運動がとても新鮮です。そろそろ現場に戻りたくてウズウズしてます。
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高橋 章さんからのひとこと
錚々たるメンバーから引き継がれたこのバトン。自分が何を伝えられるのかと頭を悩ませましたが、思いつくままに書いてみました。クモリンさんからのリクエストは「運動への動機づけや長続きのコツ」とのことでしたので、それに近い内容を述べさせていただきました。今後の指導において、何かのお役に立てれば幸いです。

運動は「嫌い」でも、運動はできる!?

自分が保健指導などで運動の話をはじめる前に、対象者のみなさんに必ず聞くことがあります。それは「運動が好きか、嫌いか?」ということ。残念ながら、自信を持って「好き」という方は少なく、大半の方は、「“運動”と聞くだけでダメ」といった反応で、運動に対して尻込みされる方が多いようです。運動=スポーツという図式を描いてしまうからかもしれません。

しかし、運動以外でも消費量はかなりアップすることは可能です。
「ニート(※1)」という言葉をご存知ですか? これは、安静時に必要なエネルギー(※2)に日常生活に必要なエネルギー(※3)を足したもので、簡単にいうと運動以外の日常生活での活動量のこと。日常で体をよく動かしニートが高くなると基礎代謝が増える傾向があり、運動をしていないときでもエネルギーを消費しやすい体になるのです。

研究としても、米国のメイヨー・クリニックにおいて、「太っている人はやせている人に比べて一日で150分座っている時間が長い(350kcalに相当)」。つまり、『「ニートが低いか高いか」が肥満への関与に大きいと考えられる』という発表がされました(2005)。

ニートは、1日の消費エネルギーの7割を占めています。肥満解消や健康づくりには、運動をしなくても、日常生活の活動量をいかに増やすかが重要です。立っている時間を増やすというとわかってもらいやすいですね(笑)。こんな話を中心に話を進めています。
他にも、運動教室では、近くの公園をウォーキングしたり、手軽にできる運動「メタボ解消運動」など実際にやってもらったりなど、「体を動かすことの効果」を具体的に感じてもらうようにしています。

※1 NEAT:Non−exercise Activity Thermogenesis
※2:人間が横になっていて、なにもしなくても呼吸をしたり体温を保ったりするのに必要なエネルギー=人が生きてゆくのに必要な最低限のエネルギー
※3:走ったり水泳といったしっかりとした運動ではなく、立っている姿勢を維持したり、座ったり立ったりするような日常生活の動きをする際に発生するエネルギー


「できない理由」を把握して、運動習慣に結びつけよう!

日常での活動量を増やすことをきっかけにして、適度な“運動”を続けることができればなお良いですね!
ただ現状はなかなか厳しい。

平成20年度国民健康・栄養調査の報告によると、運動習慣のある(1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している)人の割合は5年前と比べ男女とも増加していますが、3人に1人(男性33.3%、女性27.5%)。年代別にみると、60歳以上では40%程度なのに対して20〜49歳では20%程度となっています。働き盛りの年代では、運動できない理由として、「時間に余裕が無いから」が50%を超えています。運動指導でも「できない理由」をたくさん聞きます(涙)。ではどうしたら、運動習慣を定着してもらえるのでしょうか。ここでは、私が対象者の方に行っている方法を紹介いたします。

ステップ1 実行できない理由を書き出してみよう

なぜ今まで実行に踏み切れなかったのか、その理由を思いつくまま書き出し、そのうち何が一番大きな障害となっているかを探ってみよう。
例えば、運動をする時間がない/運動する場所がない/運動は疲れる/汗をかくと気持ちが悪い/腰やひざが痛い/何をしていいかわからないetc
書き出した項目のうち、何が運動に踏み切らせない最も大きな障害になっているかを絞り込んでみましょう。それを克服するためにできる小さな工夫は何か、思いつきませんか。

ステップ2 運動により得られるメリットを書き出してみよう

運動を実行することで得られるメリットは何かを考え、できるだけ具体的に書き出してみる
例えば、肥満を予防・解消できる/食事がおいしくなる/疲れにくくなる/若返る/夜ぐっすり眠れる/冷え性が治るetc
メリットを考えることで、何のためにやるのかという明確な目標が見えてきませんか。

ステップ3 具体的な最終目標を決め、やさしいものからレベルアップしていこう

自分のレベルに合った目標を決める。それを達成するためにできる行動を「簡単」「普通」「上級」と難易度順に3つくらいを用意し、やさしいものから少しずつ順にクリアしていく
例えば
<簡単> 歩数計を買う/運動着やシューズを用意する/自宅の周辺を散歩する
<普通> 駅の一つ手前でバスを降りて歩く/上り下りは階段を利用する
<上級> 週に3日以上速歩で20分歩く/週末に30分ウォーキングをする
<最終目標> 1日1万歩歩く
運動を実行に踏み切れない人はしばしば「全:100%」か「無:0%」か、という発想を持ちがちです。そうではなく、「20%とか40%という実行レベルもあり」と考えてもらいます。自分にとっての大きな目標をクリアするために、まず小さなステップから踏み出すよう働きかけます。

ステップ4 行動実践の手順を具体的に決めて、さあスタート!!

例えば「上り下りは階段を利用する」というのも、あらゆる場面で実行しようとするのは無理があります。これなら実行できるだろうというところを、いつ、どこで、どの程度行うのかを具体的に決めておくのです。例えば、A駅の上り下りとB駅の下り、社内の3階分まで……というように日常生活にリアルにイメージできるようにしておくことが大切です。そして、「運動の実践」に向けてスタートしてもらっています。

対象者に教える「やる気」を刺激する方法

  • ・おしゃれなウェアやシューズを用意して目につきやすい所に出しておく
  • ・目標を書いた紙を目につきやすい所に貼る
  • ・パソコンのデスクトップの背景や携帯電話の待ち受け画面を運動シーンにする
  • ・家族や周囲の人に運動宣言をしてときどき声を掛けてもらう環境をつくる
  • ・スケジュール帳やカレンダーに運動予定(1年分)を目立つ色で記入しておく
  • ・途中の目標でも達成できたら自分に旅行や買い物などのご褒美を出す
  • ・トレーニング記録(体重、体脂肪、血圧、心拍数など)をつけて変化を楽しむ
  • ・仮想ライバルを作り、その人と競う意識で鍛えていく
  • ・一緒に運動する仲間を作り、互いに誘い合う


「失敗してもまたはじめよう」の気持ちが大事

「運動の実践」という目標に向けて、対象者の方が決意新たにすることはいいことですが、あまり自分自身を追い詰めてしまうと、 「つらい」という意識がブレーキを掛けてしまうことが多いものです。最初は週一回程度くらいのペースで始めた方がいいことをお伝えしています。無理しないことが大事! 挫折したらまたはじめに戻ってステップを踏んでいけばいいのです。挫折を失敗したと捉えるのではなく、その経験から学び、次に活かしていけばOK。試行錯誤をくり返すうちに、知らぬ間に結構高いレベルに到達ということに。…何だかいけそうな気がするぅ〜。 あると思います!


メタボトレーナーのおすすめ「メタボ解消運動」を紹介

メタボ解消の重要ポイントはお腹!だと自負しております。お勧めは『ドローイン』ですが、これは、SNSサイトの自分の日記に記載してありますので、参考にしてください。ここでは他の簡単にできる腸腰筋のトレーニングをご紹介いたします。

メタボトレーナーのおすすめ「メタボ解消運動」【PDF】


次回予告

高橋章さん⇒横地裕さんへのバトン
横地さんには、「身体活動計の誕生秘話、健康チェックツール開発の健康づくりへのこだわりと特定保健指導を絡めた今後の展望」についてお聞きしたい!

次回をお楽しみに!

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血糖自己測定器と院内専用グルコース分析装置の違い
脱マショウノオンナ 『保健師だより』私流のコツワザ集
ニッポンの健康づくり 辻一郎先生 津下一代先生 インタビュー
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