特集-リレー連載

タイトルどおりSNS保健指導向上委員会の現場に関わる会員の方を中心に、リレー形式で連載記事を執筆いただく企画。毎回、執筆いただいた方に「次はこの人にこれを聞きたい!」をお聞きし、バトンをつないでいきます。

第6回は、横地裕さん⇒米嶋トシ子さん へのバトンです。

第7回 「特定保健指導・小児・学童等の健康づくりに懸ける思い」

社団法人焼津市医師会 健診センター 保健指導統括者
管理栄養士 米嶋 トシ子(よねしま としこ)
(SNSハンドルネーム:よねちゃん)
1968年焼津市立総合病院入所。2008年の退職までに福祉事務所(保育所給食担当)保健センター、養護老人ホーム、介護福祉課を勤務し、2008年現医師会に再就職し現在に至る。管理栄養士、介護支援専門員
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米嶋トシ子さんからのひとこと
第6回までの早々たるメンバーからつながれてきたバトン、本当に重くて重くて夢にまで見てしまい、筆が進みませんでしたが、40年間行政のいろんな場所で管理栄養士として自分がしてきた仕事への思いや、保健指導に対してこれからの後輩にこうあってほしいという思いが少しでも皆様の役に立てればとお引き受けしました。

チャレンジまたチャレンジの日々 行政栄養士時代

昭和43年、私が市立病院に行政栄養士として入所当初は、栄養士が医師と会話をするという事が少ない時代でした。栄養士は、医師からの指示に従い献立をたて調理し、患者に提供するだけというような感じでしたが、私は食事箋(食事療法を行うための医師の指示内容を記載したもの)に疑問をもったときは看護師を通して主治医と連絡をとり、お互い納得の上での食事提供に努めました。それまでとは違ったやり方だったようで(笑)、先輩栄養士からは理解してもらえないこともありましたが、医師や看護師とはコミュニケーションがうまれ、新しい関係を築くことができました。今思えばこの頃から職種の垣根をあっさりと乗り越えていたのかもしれません。

病院時代の最後の年(昭和58年)は病院における食事療法のシステム化のためにIT導入に精魂つくしました。ITの導入は、病院に引き続き、老人ホーム、保育所と県下の中でも先がけて行いました。なかでも思い出深いのは保育所です。市内に公私立13園(現在は14園)あった全ての保育所に同じソフトを導入し、同じ書類に統一しました。多分これは全国でも例がないのではと今でも思っています。

職場を移動するたびに、書類の開拓、献立の開拓、ITの開拓の連続。そして、ある程度開拓ができると次の場所へ移動と、本当にめまぐるしくあっという間の40年間でした。


医師会所属の栄養士として、食事の重要性を発信

再就職したのは、当医師会の顧問で私と同じ年齢の現静岡県医師会副会長の、半ば強制的な「特定保健指導をやってくれるんだろう」という一言によってでした。この言葉を貰った時は一瞬考えましたが、何か私の頭の中でやり残した事があるような思いに駆られお引き受けいたしました。

私が再就職するまでは、医師会に管理栄養士はいませんでしたが、病院時代にご一緒してその後開業している医師や、介護福祉課に在籍中に審査会で出会った医師も多く、一緒に働く事に違和感を持たずに勤務しています。

当医師会では居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、訪問介護ヘルパーステーション、地域包括支援センター、検査センター、健診センターと6部門の事業を行っています。それまでは、他部門の人達は食事の事について疑問を持っても、解決する方法もなかったかと思います。そこに管理栄養士が加わったことで、ケアマネ、ヘルパー、看護師等に、食事について色々アドバイスをしたり、ヘルパーへ栄養についての研修も実施したりする機会を得ることができました。こうした活動を通して、他職種の方々へも、人間の本能であり、健康に生きて行く上で絶対欠かすことのできないものである「食事」の大切さを改めて認識していただけたかと思っています。


事業所健診・介護予防事業 〜いま

医師会で実施している事業所健診については、産業医がもっと関心をもって健診を行い、全ての事業所で事後指導ができる体制ができたらと思います。現在は一部の産業医の事業所しか行っていません。この事業所健診が特定健診にもなるのですが、結果を見ていると本当に40歳からで良いのか、腹囲、体重で判断して良いのかとずっと疑問を持ち続けています。結果を精査しつつ、次なる支援につなげていきたいと思っています。

特定保健指導はなかなか進まないのが現状ですが、医師会(担当医)と焼津市の担当者とで平成19年度より「特定健診検討委員会」を開催しています。この中では、健診受診率の向上に向けた施策、健診項目、国、県からの情報、特定健診・保健指導の実績等が話し合われます。多分、市と医師会がこのような会議を行っているところは少ないのではないかと思います。

また、特定高齢者施策の一つとして通所型介護予防事業の栄養改善も市からの委託で行っています。高齢者が元気で長生きできるためには寝たきりにならない事が大事です。それにはやはり、生活習慣が大きく影響します。高齢者が元気でいられるように、介護予防事業参加対象者だけでなく、それ以前の人達にも支援できるようにと地域包括支援センターの担当者と話し合っています。


若い世代への健康支援 〜これから

私が行政にいた頃から、医師会では、小児生活習慣病健診、高校生の生活習慣病健診を実施していました。小児生活習慣病健診については、何回となく市に予算計上をお願いしていましたが、残念ながら聞き入れてもらえず、医師会独自で健診を続けていました。健診の事後指導は、ここ2年間は私が担当していますが、健診の結果を見るたびに唖然とします。肥満ではないのに血液検査結果に異常がある人があまりにも多い。小児生活習慣病健診だけでなく、高校生、事業所健診結果も同じです。なんとかしなければ、今の若者が健康で生きていく事はできないと強く感じています。

それには、私1人では何もできません。同職種他職域、他職種協働が必要です。そしてそれが当たり前になるように後輩も育てなければと思いました。

まずは、小児生活習慣病健診事後指導を確立したいと考えています。昨年度は良い結果は得られませんでしたが、今年は8年目にして市の予算計上もされたため、学校栄養士に協働へのアプローチをしてみたところ良い返事が得られました。小学生に健康な生活習慣・食習慣を身につけてもらうために、学校、行政、医師会で何ができるかを、これから知恵を出し合い、詰めて行きたいと思っています。

高校生の生活習慣病に関しては、自分である程度理解できる年齢ですので、養護教諭の先生と相談し、もっと中身の濃い指導をしたいと考えています。


同職種他職域、他職種協働への願い

小児、児童、高校生、成人、高齢者とすべてのライフステージの人々が健康で過ごすために、同職種他職域、他職種協働で気軽に相談したり、保健指導ができる体制ができたらと願わずにはいられません。

他職種協働の為に、「特定保健指導勉強会」も立ち上げさせていただきました。これは後輩を育てるという思いも込めています。静岡県近辺のみなさん、健康支援のためにぜひ一緒に勉強しませんか。

最後に、健康に対する事業は医師がもっとも鍵を握っていると思います。その機関で働いている私が、まずは小さな事からでもパイプ役になっていけたらと思っています。
私を動かす原動力となっているのは、20歳で大病を患った息子(幸いなことに治癒しましたが)が数年たって発した「あの時もらった命だから」という言葉です。この世に生を受けた人々が命を大切にし、心身共に健康で過ごせる社会になることを強く願っています。今は、息子も「お前1人くらいは養ってやれるよ」(旦那はどうなるんだ?)(笑)と言ってくれていますが、趣味のパッチワークを楽しみながら、人々が健康で過ごせる社会のお手伝いと後輩の育成が私に課せられた事だと、もう少し頑張ってみたいと思います。


次回予告

米嶋トシ子さん⇒岩崎恵子さんへのバトン
岩崎さんには、「実際行っている特定保健指導について出てきた問題点、評価」についてお聞きしたい!

次回をお楽しみに!

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