特集-リレー連載

タイトルどおりSNS保健指導向上委員会の現場に関わる会員の方を中心に、リレー形式で連載記事を執筆いただく企画。毎回、執筆いただいた方に「次はこの人にこれを聞きたい!」をお聞きし、バトンをつないでいきます。

第15回は、中嶋寿美子さん⇒大出理香さん へのバトンです。

第15回 「学びをいかし、目標を現実化するために」

人間総合科学大学大学院人間総合科学研究科健康栄養科学専攻修士課程1年
管理栄養士 健康運動指導士
大出 理香(おおで りか)
(SNSハンドルネーム:レオ)
栃木県出身。1991年JA系列総合病院、1995年老人保健施設で勤務。2001年より養護老人ホーム、知的障害者更生施設に勤務。2005年医療機関、2006年健診クリニック勤務。2008年〜2010年3月まで市町村行政の保健センターにて特定保健指導を主に栄養指導員として非常勤勤務。
2008年健康運動指導士取得、管理栄養士有志により高齢者の食事に対する自主研究グループ“ピュアフード研究会”発足。
2008年4月人間総合科学大学人間科学部人間科学科(通信性)編入学、2010年3月卒業。
2010年4月人間総合科学大学大学院人間総合科学研究科健康栄養科学専攻修士課程1年入学。
健康栄養学科の学生さんのティーチングアシスタント(TA)業務を通じ、後進育成の重要性を認識しつつも楽しさを満喫しているところです。

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大出理香さんからのひとこと
管理栄養士として、今までに医療・福祉・保健の場で勤務することができました。なかでも、縁あって保健に足を踏み入れた際、目指す道は"保健"なんだと強く感じ、栄養士を目指していたころの「栄養」と「運動」で人の役に立ちたいという気持ちが蘇りました。
当大学は特に心理系の科目が多く(健診業務に携わったときにメンタルな問題を持つ方があまりにも多くいことに驚き、現在のスキルでは到底対応しきれないという危機感がありました)、学士取得も可能なため編入学を決めました。学びは一緒にと編入学と同年、健康運動指導士を取得しました。
修士課程進学のきっかけは、保健行政に携わったことが一番の理由です。特に行政機関での特定保健指導では、保健行政の重要性を再認識し、健康づくりの醍醐味を味わうことができました。今までの経験と知識を糧にさらにステップアップするには、学び直しが必要と考え、働きながら修士課程に進学することを目指しました。
本校の通学制の修士課程は全日制のため、悩んだ挙句退職を決意し、奨学金を頼りに現在勉学に励んでいる状態です。毎日若いエネルギーを浴びながら充実した学生生活を過ごしております。通信大学の卒業が決まり、修士課程に進学しましたが、学業はまだ志半ばで、博士号取得を目標に掲げております。

学びは楽しく、己のため、人のため

最初の就業先である医療機関では、「学びなくして社会人とは言えない」という信念をもった方が上司でした。そのため、課内では定例の勉強会があり、県栄養士会が主催していた病態栄養研修に毎月参加して最新医学を学ぶというのが通常で、恵まれた環境におりました。もともと私自身も新しいことを知ることが好きなタイプでしたので、栄養士業務につけた際には、学ぶことが楽しくてたまりませんでしたが、専門学校卒業の私は栄養の知識不足を実感し、栄養について学び直すことをこの頃に心に決めていました。

多くのことを学んだ職場でしたが、やりたいと感じていた訪問栄養指導とNST(Nutrition Support Team チーム医療で栄養管理をすること)を経験できる場がなく退職を決意しました。栄養士の業務は幅が広く、学んでいくと他分野への関心が広がっていきます。時代を少し先取りしているのか、やりたいと思うことは新規事業になることが多いようです(笑)。

私は"学ばないのは悪"といつも友人、知人に言い続けて来ました。現在は学部生に「一生勉強」と柔らかい表現で伝えています(笑)。学びは医療職だけでなく、学生はもちろん社会人にとって必要なものです。なぜなら、学びなくして人は成長しないから。「今日より明日、よりよくなる」ために大切なことと思っています。そして、支援が少しうまくなった、対象者に喜んでもらえる指導ができた、減量が成功した、こうした学びからの成功体験は、学びを楽しくさせてくれます。楽しくなければ保健行動同様、学びも継続できないものですから。そして、学んだものは、己だけでなく、最終的には、人(対象者)のため、家族のためになるということも、学生に伝えていけたらと思っております。

私の学生への指導はスパルタ教育が基本で、かなり厳しく行っています。2年生の実習では、献立作成から調理実習まで一括してお手伝いさせていただきました。献立作成したメニュー見て「センスない!」とか「この分量あり得ない!」と毒吐きまくりでしたが、学生のレポートに「先輩は、現場の経験が多くあることから、アドバイスがとても適切でした。基礎的なことから、具体的なことまでちゃんと教えてもらうことができ、とても嬉しかったです。」と書いてもらいました! 懐いてくれる子も居て関わった学生さん達はみんなかわいいです。これからも、手厳しい先輩で居ようと心に誓ったのはいうまでもありません(笑)。


運動支援の現場では、姿勢を正して"前向き"に

現在、糖尿病専門医の下で運動支援を行っております。糖尿病の患者様が殆どなので運動する前に必ず体調チェックを行い、聴き取りにより、今、体で気になっている部分などを確認しています。肩こりや膝の痛みなどはストレッチで軽減することもあるため、アイスブレイクで使っております。特に肩こりは食い付きがいいです(笑)。

昨年、市町村の健康増進事業の運動指導をさせていただいたあと、「正しいスクワットの方法の説明で、暗いところでトイレの便座を探す感覚で・・・という身近な内容で具体的な説明方法等がとても参考になりました☆」と元同僚にうれしいメールをいただきました。運動はイメージしやすいことに重きをおいて指導しています。

他にも、いすの座り方、歩き方をお伝えし、姿勢を正した時の体の状態、筋肉の使い方に、気づいていただくという支援もしています。姿勢を正すと気持ちが前向きになることを付け加えると「なるほど〜」と納得される方が多数いらっしゃいます。運動自体の指導というより、姿勢を正すという「気づき」から、まずは体を動かすことに興味をもっていただき、そこから消費エネルギーUPを提案しております。


モットーは"自分で実践していること以外は対象者に提案しない"

保健指導や運動支援の場では、対象者に対していきなり運動しようなどとは言いません。自分自身もしばらく運動をしていない状況のときもありましたし、「体を動かして気持ちいいという感覚は理解できない」と運動嫌いな方に言われ愕然とした経験もありましたので(笑)。

運動しなさいと医師や看護師に指示されても、運動に対して苦手意識が強い方には、家事や仕事の合間などで生活活動強度を上げるようにお伝えしています。掃除機は汗をかくようにしっかりかける、窓掃除は大きく腕を使って二の腕を意識する、バランスボールがあればテレビを見る時はボールに座るなど、ちょこまか動くことを提案しております。
私自身も運動する時間がないので、通学時の歩行は速度を上げて歩き、トイレは一段飛ばしで上階に上がり、降りる際は速足で、大学内の棟の移動も基本、一人の時は走って移動してNEAT(Non-Exercise Activity Thermogenesis)な生活を心がけております。

対象者の方と同じ目線にあること。そのために自分が実践できる以外は、対象者に提案しないのが、自分のモットーです。これは運動だけでなく食事含め生活全般すべてにおいて心がけていることです。

運動習慣のある方は、元気ハツラツで肌ツヤもよく実年齢よりも若くみられますよね(笑)。私は自分自身が健康を売る「媒体」と考えております。栄養・運動・休養を上手に管理し続けていなければ若さを維持できません。対象者から目標にされるような体型を維持するだけでなく、これからはTOTALで美(!?)を追求していかなければと。健康を売る商売ですので、自分が心も体も健康でないといけないと思っております。


1に運動2に食事 両面からのサポートで効果をあげる!

厚生労働省では、生活習慣病予防(健康づくり)のスローガンを「1に運動2に食事しっかり禁煙最後にクスリ」と掲げていますが、私の修士論文のテーマはまさしく1と2なのです。糖尿病患者様に対して運動介入が大きなキーポイントとなります。今まで管理栄養士として栄養指導に従事してきましたが、運動指導を併用することで、グループダイナミクス効果でより楽しく行え、患者様の受け入れが良くなったように感じます。この心理面での変化を科学的に証明できたらと思います。管理栄養士は栄養のことだけでなく、運動も支援できれば予防での活躍の場が広がると考えるからです。今回は臨床で介入研究をする予定ですが、今後は保健の分野で同様の研究ができたらと考えております。


妊娠期、乳幼児期への介入が次なる目標

第12回連載の藤田みどりさんはじめ、保健師さん方も妊娠期からの健康増進活動を強く仰っておりましたが、私も同じ想いです。保健センターでの離乳食教室(4か月健診時)では、お母さん方の目の真剣さに圧倒されたのは記憶に新しいです。この時期に離乳食(食事)だけでなく、遊び(運動)についてもしっかり介入出来れば、赤ちゃんはもちろんお母さん方の生活習慣も見直しが出来るのではと考えております。修士課程修了した時点で、他大学の先生とともに妊娠期からの介入研究をしたいと申し入れ中です。

私が所属していた保健センターでは、母子手帳発行を保健師・管理栄養士・保育士が行うことにより妊娠初期介入をしております。当たり前と思っていた対応でしたが、早期介入によりリスクを発見できていたことに改めて気づきました。ここでの研究成果から、母子保健に管理栄養士の配置を目指していきたいと考えています。まだまだ時間を要すると思いますが、健康な日本を目指すため粉骨砕身覚悟で頑張っていきたいと思っています。


目指すは「マイ栄養士」システムづくり

私の最終的な目標は、困ったときの神頼み、医師頼みではなく、アメリカの登録栄養士(RD)のようにいつでも困ったときに栄養士に聞けるようなシステムづくりです。例えば、慢性疾患で食事療法が必要な場合、保健所や保健センター、または医療機関などにSOSを出さなければ栄養士とアクセスできず、困ったときに即時対応ができない現状があります。また、高齢者など摂食嚥下に問題があり食事形態について相談したい場合も同様です。何でもすぐに話ができる栄養士が地域にいるというシステムを構築したいと大いなる野望を持っています。そのためには、食事+運動+休養をトータルで支援できる栄養士の育成が欠かせません。

管理栄養士は、食事だけでなく、軽い運動指導も出来れば健康支援を一括して行うことができ、食育との合わせ技で健康づくりに寄与できる可能性が大きいと考えるからです。だからこそ、博士課程までの進学を目指し、栄養士の重要性や新たなる役割について、学術的に証明したいと思っております。


次回予告

大出理香さん⇒吉田和弘さんへのバトン
「行政から健診機関への転職を果たされた吉田さん。行政保健師と現在の保健師業務の違い、対象者との関わり方や支援の場でとくに注意していることなどをお聞きしたいです。」とのこと。

次回をお楽しみに!

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