特集-リレー連載

タイトルどおりSNS保健指導向上委員会の現場に関わる会員の方を中心に、リレー形式で連載記事を執筆いただく企画。毎回、執筆いただいた方に「次はこの人にこれを聞きたい!」をお聞きし、バトンをつないでいきます。

第25回は、野田隆さん⇒パムババさん へのバトンです。

第25回
「寄り道もまた良し 経験から学ぶ健康支援」

地域統括パスコーディネーター
SNSハンドルネーム:パムババ
高校卒業後、いったん別の道を選ぶも看護学校に入学。卒業後、行政保健師となり、保健所、精神保健センターに勤務。親の介護のため退職し、介護する生活に。その後、産業保健に関わる。2010年から岐阜大学附属病院 医療連携センターで5大がん地域連携パスの地域統括パスコーディネーターとなり、現在活躍中。

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パムババさんからのひとこと
野田先生との出会いは、今年4月のスキルアップ研修会の『なりきりワーク』。私の名演技を見初めてくださったようで…(笑)。この出会いが、突然のリレー連載のバトンにつながるなんて、驚きのあまりにフライングをしてしまいました。リレー連載のバトンを受けることを承諾した後、連載のバックナンバーを読み返し、「何てこった!」と叫んでしまった私。なにを書くべきなのか。野田先生からは、「そのパワーを活かした、今まで、そして今からの健康づくり・予防への働きかけについての抱負をお聞かせください。」とのこと。ここは居直って、いままでの自分について、そして今の仕事であるパスコーディネーターの話を中心に書いていきたいと思います。その中からなにかしらお役立ていただけるヒントがあれば幸いです。

中途から資格をとり、さまざまな職場を体験

あと1年半で還暦の私。高校卒業後「法律に強い人になりたい」と考えて法学部に入学しましたが、「完璧な主婦になりたい」と考え卒業と同時に結婚。10年後、子どもの頃からの「誰かの役に立ちたい」という思いを胸に、「訪問看護をしたい」と考えて看護学校に入学。卒業後、保健師として行政職になり、最初の職場「精神保健センター」で精神障害者の社会復帰を促進する仕事につきました。

その後15年間、保健所と精神保健センターを交互に勤務。親が認知症になったため、夫の故郷に戻り介護をする生活を始めましたが、親の「特別養護老人ホーム」の入所を機に、はじめての「産業保健」の場へ。そしてはじまった特定保健指導。

しかし2年が過ぎて「特養にいる親の介護がしたい」と考え退職し、再び介護の日々に。そして「ちょっとだけ仕事がしたい」と岐阜大学附属病院 医療連携センターで「5大がん地域連携パスの地域統括パスコーディネーター」となりました。現在は「ちょっとだけ」の仕事はフルになってしまっていますが……。いつも動機が途中で変化して、目的が変わってきてしまいます(笑)。


地域連携パスコーディネーターの役割

「5大がん地域連携パスの地域統括パスコーディネーター」として働くことになり、一年が経ちました。地域連携パスコーディネーターは、「先駆者」がいない分野です。おかげでというべきなのか、自分自身で考えながら活動をさせてもらっています。

がん診療拠点病院では認定のために必須で行わなければならない「5大がん地域連携パス」の運用を行っています。地域連携パスコーディネーターの仕事とは、5大がん(肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、肝がん)の早期治療を終えた患者さんを地域のかかりつけ医にお願いして治療を継続し、再発予防、症状の悪化を防ぐことです。また、患者さんの不安を軽減し、地域のかかりつけ医との橋渡しを行い、医師会と協働してより簡便に診療が行われるシステムつくりを行っています。地域連携パスコーディネーターとして、ありとあらゆる知識をフル回転させ、人脈ゼロだった中から「友達」を作り、仲間みんなで問題点を見つけ解決していくなど、楽しく活動しています。仕事が楽しいなんて久々のことです。

こうした新しい分野での活動には、私がこの業界に入ってからも、持ち続ける「ど素人感覚」が役に立っているのかもしれません。この「ど素人感覚」は、中途から資格を取り、数々の職場を転々としたことで得たもの。「専門職はこうあるべき」といったものにとらわれず、疑問に感じたことに、「何で? 何のために?」と率直に提示し考える習慣が身についたこと、そして問題解決に向けて多くの方々に教えを乞うことができたことです。

「パス」の作成も、固定観念にとらわれず「誰のためのもの」という気持ちをつねにもちながら、バージョンアップしていくことで、いまのかたちになりました。


地域連携パス「糖尿病パス」の事例から

はじめは「5大がん地域連携パス」のコーディネーターのみでしたが、地域で運用が始まった「地域連携パス」についてもコーディネートをすることになり、「急性心筋梗塞パス」「脳卒中パス」「糖尿病パス」「肝炎パス」と関わっています。

その中のひとつ「糖尿病パス」を事例として、説明させていただきます。このサイトの会員の方は保健指導として「糖尿病」にかかわることが多いかと思いますが、こんな方向から動いている人がいると思っていただければと思います。

大学病院は糖尿病をはじめ多くの専門医がいますが、地域では「糖尿病専門医」の数は少ないのが現状です。わが県においても専門医のいる医療機関は中心部に集中し、医療の過疎化が見られます。「糖尿病パス」は、増える一方の「糖尿病患者」の病状悪化を防ぎ、地域における「医療水準」の向上を図ることが目的となっています。

具体的な私の仕事内容は、地域の「かかりつけ医」から紹介された「糖尿病教育入院」目的の患者さんに対して、退院後は「かかりつけ医」を日常的に受診し、節目(6か月、1年毎)には、糖尿病専門医を受診していただく「パス=行程表」を作ることです。このパスを使うことで、糖尿病の「医療中断率を低下させ、病状悪化を防げれば良い」ということです。

毎日、当大学病院には平均して2名の患者さんが「教育目的」として入院されます。新規の患者さんの入院は少なく、平均して10年以上の(治療歴→経過)のある患者さんが中心です。私のイメージでは、大学病院に入院する糖尿病患者さんは「自己コントロールが悪く、生活習慣の改善を要する人」でした。しかし、予想を裏切り、HbA1cは8〜13%ですが、喫煙している方は少数ですし、肥満の方も少なく(途中での体重減少があったため)、食事にも注意しているという患者さんがほとんどです。

病歴を見させていただくと「会社の健診で指摘されたが放置し、数年後ケガ(他の病気)で入院し、その時から糖尿病の治療を開始した。3年ほどして改善を期に治療を中断したが、最近足の違和感があり整形外科を受診し、当院紹介となった。」というケースが多いようです。

教育入院は約2週間。その間に糖尿病教室をはじめとする患者教育と、あらゆる検査が毎日実施されます。そして退院間近に、私が退院後の受診について説明に伺います。全員の方が、すんなりと「かかりつけ医と病院」との併診を了解されます。この場では医療中断の「影」は全く見られません。きっと今後はきちんと治療にも通われることでしょう。

そんな糖尿病の患者さんを、パスコーディネーターとして地域に送り出しながら、思うこと……。この患者さん達の多くは、いまは「定年退職後で、2週間の教育目的入院もゆっくりできる。治療費にも困らず、今後の生活を考え自分の生活を見直そうとする意欲がある」ということ。しかし、働き盛り世代というべき時代には、「糖尿病治療勧奨」を何年も放置し、いよいよ症状に不安を持ってから受診をしているのです。「症状の悪化」は「指導」より有効な「受診勧奨」なのでしょうか。


特定保健指導への期待と私自身の今後

特定健診・保健指導制度がはじまって4年目。制度がきちんと機能し、健康支援が職場で行われることで、今まで放置していた「受診勧奨」がきちんとされ、受診につながればと思います。そして、放置したまま10年後の「(有症状による)まさかの治療開始」と、定年後の「もっと以前にいろいろ教えてもらえば良かった」という発言が無くなるのを期待しています。毎日、病院で多くの患者さんと接していると、予防の大切さを実感します。そしてパスコーディネーターとしてはもちろん、地域での地域連携パスの果たす役割はなにかを自問して、悶々とすることも・・・。

でも近頃は、はじめはごねていた患者さんが変わっていき、私の支援を受け入れてくれる「過程」が面白くなりだしています。患者さんとお話をするのが好きな私。「パスのおかげで相談できる人ができて良かった。」と言ってもらえることが楽しみです。

前述しましたが、今の私は様々な人生経験から、「誰をも受け入れる」ことができるようになったと感じます。今まで失敗も多かった私ですが、それゆえに「治療中断する人」も受け入れられるようになり、良い関係が築けている気がします。パスコーディネーターとしては、またもや目的と違ったことをしている私ですが・・・。


次回予告

パムババさん⇒山内恵子さんへのバトン
「先生はとても不思議な方です。そのあふれ出る「人間愛」は尽きる時がくるのか・・・誰もが知っているykeikoさんに『渡る世間は面白いことばかり』のシナリオを書いていただきましょう。紙面が足りないでしょうね。」とのこと。

次回をお楽しみに!

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