特集-リレー連載

タイトルどおりSNS保健指導向上委員会の現場に関わる会員の方を中心に、リレー形式で連載記事を執筆いただく企画。毎回、執筆いただいた方に「次はこの人にこれを聞きたい!」をお聞きし、バトンをつないでいきます。

第26回は、パムババさん⇒山内惠子さん へのバトンです。

第26回
「自分を知り、本来の目標をみつけた SATとの出会い」

名古屋学芸大学管理栄養学部管理栄養学科講師・管理栄養士
山内 惠子(やまうち けいこ)
(SNSハンドルネーム:ykeiko)
筑波大学大学院修士課程体育科学研究科健康教育学分野卒業。栃木県済生会宇都宮病院、岡崎市医師会公衆衛生センター勤務後、現職。 担当は、栄養教育実習、栄養カウンセリング論、栄養カウンセリング演習(傾聴技能士(プチカウンセラー)の資格がとれます!)

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山内惠子さんからのひとこと
パムババさんから「・・・誰もが知っているykeikoさんに『渡る世間は面白いことばかり』のシナリオを書いていただきましょう。」とのバトンをいただきました。書くのは大の苦手!前回の不義理もありましたので、お断りしたい気持ちを飲み込んで引き受けてしまったものの、皆様のお役にたてそうなことは書けそうにない・・・。脈々と続いてきた立派なリレーの腰を折ってしまうことをお許しください。

生い立ちと私の根っこ

パムババさんがあと1年半で還暦ならば、私は1年半前に還暦を迎えました。
せっかくいただいた機会、『渡る世間は面白いことばかり』そんな風に見える私の人生って、どんなだろうと振り返ってみることにしました。

1950年の夏、栃木県の片田舎、祖母が営む青果業と映画館の初孫として生を受けました。幼いころから邦画、洋画に囲まれ、義理人情から正義感、人を笑わせ、愉しみを共有する心、多くの人生観、価値観を私は映画の世界から学んだと思います。

もちろん、誰もがそうであるように、両親や祖母の生き方も私に影響しているようです。

父は高校の数学の教師、まじめだけが取り柄のような人でしたが、その誠実さからか、卒業後も父のもとを訪れる教え子を嬉しそうに迎えいれる父の姿に、教育者というのも悪くないなと思った時期もありました。

母は高校生の時に病で失った祖父に代わり家業を守る祖母を助け、家事一切を任されていました。ですから、映画館兼芝居小屋に役者さんたちが来ると、釜戸での大量炊飯が始まるのです。大きな鍋に炊かれた煮物や、母得意の茶わん蒸しを、美味しそうに食べる人々の笑顔を見て、料理は人の心を和やかにする素晴らしいものである事を感じていたようです。

大学卒業時の進路決めでは、決まっていた教員採用を断り、中華店に勤め料理人を目指すなどと駄々コネをして、父親の気を引き、困らせた自分がいます。尊敬する父の後を追うように教職の道に進むのは、引かれたレールの上を歩くような気がして嫌だっし、父のように素敵な教師になれないんじゃないかという恐れを抱いていたからかもしれません。「自分が進んだ道が本当に良かったかどうか、それは自分が生涯を終えるときにそう思えるかどうかだと父さんは思う。自分がこれでいいと思う道を進みなさい」としたためられた父からの手紙で目が覚め、結局、栃木県の済生会宇都宮病院に就職、病院栄養士になりました。


「思ったらまっしぐら」怒りのエネルギーと正義感で突っ走った

勤務して2年で、先輩方は全員結婚退職。いきなり、栄養部門のトップに立たされてしまいました。給食委員会がない、約束食餌箋もない、給食費が最低・・・。栄養相談の部屋が調理員さんの休憩室なんて「ありえない!」。怒りのスイッチが入ると、病院長、副院長、事務局長に噛みつき、解決策に走り回っていました。病棟中回って外来の空き部屋を栄養相談室に常設したり、約束食餌箋づくりや、給食委員会発足、糖尿病教室開講など栄養士と医師、看護師さんたちとの橋渡しにと奔走。とにかく、上には噛みつき、有言実行の熱血漢栄養士といったら聞こえがいいけど、若気の至りで突っ走りましたから、周りの皆様には随分ご迷惑をかけてきたと思います。

遊ぶことも大好きだったので、職員のクリスマスパーティの企画運営、もちろん料理もカクテルも業務の合間を縫っての手作り、チャリティ募金を兼ねた職員のかくし芸大会を県施設の小ホールを貸切り企画したり、乳児院の屋上での納涼大会。料理100人分は朝から一人で作りました。楽しくて、夢中で走り抜けた6年間は、結婚、出産で幕を閉じましたが、栄養士の数が在籍中に3倍の9人に増えたのは、栄養士の必要性を分かってもらうことができたからかなと自負しています。


第2の職場、岡崎市医師会公衆衛生センターの常勤栄養士に

育児に専念していた10年間もじっとしていませんでしたが紙面の都合上割愛(笑)。平成元年から第2の職場、岡崎市医師会公衆衛生センターの常勤栄養士となりました。

就職した当時は、廊下の隅っこで人間ドック後の10分間栄養相談を細々と行っていました。ドックの事後指導だけでは飽き足らない性格ですから、栄養アドバイスのほかに、検査データに基づく20分間病態面談の流れを作りました。一方では、病院から予約制で栄養指導をするために医師会会員向けの約束食事箋を作り、病態栄養相談室を開設し、初年度60件だった相談数も翌年には800件に成長させました。

医師会の常勤栄養士としての採用は私が初めてだったので、管理栄養士と健康運動指導士の資格取得にチャレンジ。その結果、国のモデル事業「慢性疾患患者生活改善支援事業」を請け負うことになり、私の研究活動の「初めの一歩」となったのでした。

また、企業健診の事後指導には、啓蒙のための講演だけでなく、健診データを基に集団教室、栄養士を企業に派遣しての個別病態指導と、まさに今の特定保健指導と同様のフォローシステムを構築し、パート栄養士さんの派遣を行っていたのは今から15年前の事です。

こうして振り返ると、私はどうも3年ごとに新しいことをやりたくなるようです。平成元年は人間ドック事後指導と病態栄養相談業務、平成3年からは運動指導開始、平成6年には開業医向けにポスターを配り、体験型糖尿病教室をスタートさせ、済生会時代に志半ばでやめた糖尿病教室を再開させました。教室卒業の患者さんたちで立ち上げた糖尿病患者会「元気会」は、日本で初めて医療従事者が表に立つのではなく、患者自身が歩む患者主体の糖尿病患者会へと進化し、今年で15周年、その記念に坂根先生をお招きして講演会を開催するに至り嬉しい限りです。


SATとの出会いで治まった怒りのエネルギー

運動指導と栄養指導が軌道に乗ったころ、どういうわけか摂食障害の患者さんの病態栄養相談予約が増えてきました。これがきっかけでSATヘルスカウンセリングを学ぶことになりました。SATとは、筑波大学の宗像教授によって開発されたセラピーで、カウンセリングの手技手法が方程式を解くように面白く、いつの間にか虜になりました。

実は、第2の職場でも熱血漢でスタートしましたから、部長、課長からは、「山内さんは、それ(感情的になって大声を出す)がなくなれば最高なんだがな」と上司に言われていました。

過去の失敗(心が傷ついた)体験が、似たような状況下でフラッシュバックし、今の自分の妨げ(激怒する行為など)になっている。SATを学んですぐ、私の怒りのスイッチを入れていた原因にたどり着きました。子どものころの町民大会で、私だけおむすびをもらえなかった事件です。過去の傷ついたイメージ脚本を、自分の望むイメージに変えただけで、私の人生から「激怒する」行為は消えていきました。

ヘルスカウンセリングのセミナーでスキルを学び、摂食障害や、糖尿病、腎不全などの「分かっているけどできない」患者さんに面談してみると、自分の問題に気付き、本来の立ち向かうべき目標を見つけ、魔法にかかったように成長、改善を遂げていくことに「目からうろこ」で、気づいてみたらいつの間にかカウンセラーになっていました。

SATカウンセリングの学びの中で、私が栄養士になる道に進んだのも、五十路もすぎてから教育者にたどり着いたのも、実は私の潜在意識の中にあった思いが導いてくれていたんだと気づきました。そして今、自分の気持ちに素直に、自分の「ありのままの人生」を楽しめるようになった私の背景は、生い立ちや、両親、ご先祖様から頂いた遺伝子気質に合わせて、ここの学びがあるのかなと思っています。

SATセラピーや遺伝子気質については、紙面の関係でここでご紹介するのは無理。興味のある方は「山内惠子のそこからぶろぐ」の「SATコーナーのシリーズ:SATセラピー、カウンセリングを愉しく学ぼう」をお読みください。


次回予告

山内恵子さん⇒杉村聖士さんへのバトン
「SNS保健指導向上委員会のお父さん的存在、ハートフルで、行動的、そして何でも作ってしまう杉村さんが大好きです。私がこの保健指導向上委員会に入会し、右も左もわからないときに、他の会員の方々を引き連れて、私の職場にやってきた、その人懐っこくヒューマニストな杉村さんの人生観も気になりませんか? よろしくお願いいたします。」とのこと。

次回をお楽しみに!

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