特集-リレー連載

タイトルどおりSNS保健指導向上委員会の現場に関わる会員の方を中心に、リレー形式で連載記事を執筆いただく企画。毎回、執筆いただいた方に「次はこの人にこれを聞きたい!」をお聞きし、バトンをつないでいきます。

第31回は、加藤 ゆかりさん⇒山田 みゆきさん へのバトンです。

第31回
「行政栄養士ってなんだろう? 〜どこでもなにからでも学ぶ場に」

行政栄養士
山田 みゆき(やまだ・みゆき)
(SNSハンドルネーム:ヤキソバ)
平成12年、大妻女子大学家政学部食物学科卒業。卒業後は、地元の老人福祉施設で2年弱勤務した後に、平成14年小さな町の役場に入庁。平成18年、市町村合併により市の職員となる。保健センター→ 保健センター(H19)→ 自校式給食の中学校(H22)→ 平成24年4月より再び行政に戻る。現在は食育推進担当。入庁から11年目を迎える。

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山田みゆきさんからのひとこと
「学校給食と保健指導という全然違う職場異動の狭間で、栄養士の考える食の保健はどこが違っていてどこが共通していることなのか、両方体験した山田みゆきさんことヤキソバさんなら語れると思っています。子供の食と、大人の食のありかたを改めて聞いてみたいです。」とのこと。自分の経験からの言葉でしか語れませんが、少しでも皆様にご参考いただけることがあれば幸いです。

行政栄養士としてのスタート

私は平成14年4月に人口2万弱の町の保健センター職員として入庁しました。当時は健康教育や地区組織育成を担当していましたが、開催する事業に人が集まらない、事業の評価方法がわからない・・・と事業を進めていく中で出てくる問題に常に頭を悩ませ、答えが見つからない苦しい時期でもありました。

そんな入庁3年目の頃、健康日本21の市町村計画を推進していく中、朝食の欠食が町の課題としてあがり、簡単な朝食が自分で用意できる子供が増えることを目標に事業を計画しました。対象は小学生、生活リズムが乱れやすい夏休みに児童が集まっている学童保育所で、「おにぎり教室」を実施することになりました。
・学校の食生活の実態を知る養護教諭
・読み聞かせのエキスパートの地域の読み聞かせの会
・食に関するボランティア団体の食生活改善推進員
・コーディネート役の行政栄養士
が連携して事業を実施しました。
読み聞かせ→ 栄養士(私)講話→ おにぎり作り→ 試食の流れで教室を開催。

読み聞かせでは、絵が得意な住民の方が紙芝居を作ってくれました。種類も年数を重ねるごとに増えていって3種類もでき、私も手作りの媒体“えいようれっしゃ”を作って講話に臨みました。この食育事業は、先輩の保健所栄養士から助言を受けながら、住民を巻き込んで展開し、学会発表までこぎつけることができました。


新しい展開を求め新資格を取得したが・・・

平成18年1月23日に市町村合併を経て、市の職員となりました。そして、平成19年度に旧の隣町の保健センターへと初めての異動を経験します。業務量が激減したことに嘆いて一念発起、受験資格である業務経験5年を経過したことをいかして、介護支援専門員を取得しました。知識のないところから半年の勉強で、一発合格しました。専門職ですから(笑)、専門的知識を要する業務を獲得したくて画策しましたが、結局いただけた業務が予防接種の事務。もちろん初挑戦の業務ではありました。

今でこそ笑って話ができますが、行政栄養士としての自分の存在価値に関して随分悩んだ時期だったかもしれません。平成20年度からは、庁内衛生部門にいた正規5名、嘱託2名の栄養士は正規5名のみに減員されました。減員に伴い、私が入庁から5年間在籍した保健センターの栄養士の配置がなくなったことも、さらに悩み続ける大きな要因となりました。

ずっと後のことになりますが、保健所業務の研修で初めて保健所業務に従事した栄養士さんがおっしゃっていた言葉が印象に残っています。「保健所栄養士は“ひきだし”を多く持つことが大切。何を開けば、見つけたい答えを探すことができるかを知っていることが大切なんだ。」そのときに自分が予防接種担当していたときのことがストンと落ちたような気がしています。確かに、全く分からない中でも法やマニュアルの中から必要な部分を見つけ出す技術を学んできました。どんなときも学ぶことはあると感じました。

この頃から、自己申告書(異動希望調査)に学校への異動を希望し始めます。介護支援専門員を取得したのもそうですが、栄養士の可能性を広げたい、いろいろな仕事を体験したいということがありました。前述した駆け出しの頃に自分を育ててくれた保健所栄養士という仕事にも関心を持っていましたので、保健所業務の一つである給食施設巡回指導も見据えて給食施設勤務を経験したいというのも大きかったと思います。


学校栄養士に異動

諦めかけていた頃、平成22年度に自校式給食の中学校に異動となりました。 私の所属する市は各学校に給食室を設置し、1校に1人の栄養教諭・栄養士を配置する自校式給食が特色です。市町村合併により市となった旧町村も順次自校式に移行しています。減員された衛生部門に比べて、着々と増員する学校栄養士という職種に興味津々でした。

学校勤務時代に意識していたことは、給食を教材化するということです。美味しい給食を提供し続けること、そして、毎月の献立表を給食時の指導教材として活用していくことが、食育につながるということを学ばせていただきました。

学校栄養士になりたての頃は毎月の献立を市教委に提出する度にお怒りの電話がかかってきました。「パンに唐揚げつけるってどういうことなの!?(怒)」とか。私としては、フライドチキンのイメージでした・・・。唐揚げとフライドチキンは同じ鶏肉の揚げ物ですが、名前で和風・洋風と分かれてきます。給食は家庭での食事の見本になるので、献立のネーミングも、ごはん→和風献立、パン→洋風献立というように、その後は心がけました。

実は学校に異動したときの大誤算で、指示書(給食のレシピのようなもの)を全て前任者に持ち出されてしまいました・・・。これは生徒たちが今までどんな給食を食べていたか、まったくわからないということです(泣)。いろいろな方に相談しながら、教えていただきながら私が給食作りに向き合っても、今までの味やレシピに慣れ親しんだ生徒たちに、すぐに受け入れられる給食になるはずもなく・・・。
そんな状態のスタートでしたので、残念なことに生徒と関わる時間は少なかったです。やはり教室に足を向けて実際に食べている様子を見ることで初めて献立を立てることができるのだと先輩方にも教えていただいたのですが、それは最後まで改善することはできませんでした。

将来的に、食育として「世界・日本の味めぐり」の企画を考え、まずは「世界の代表的な料理」や「日本各地の郷土料理」を給食で実施すべく、平成24年度に向けて下地づくりをしている段階で、行政部門に異動することになってしまいました。

ヤキソバさんの給食ギャラリー


学校給食での実際の取り組み

異動までの2年間に私が行った学校給食の取り組みの中で、見えてきた課題をお伝えできればと思います。

今の給食は非常に手が込んでいてバラエティに富んでいます。カルボナーラ、ペペロンチーノ、手作りコロッケ、サーターアンダギー、手作りチョコレートケーキ…。横文字のものばかり並んでしまいましたが、工夫次第で何でも給食として作れるのではないでしょうか?

生徒に食べたいメニューを書いてもらって、人気の高かったものを給食に出す「リクエスト給食」を実施したときに、3年生から“雪見大福”があがってきました。確かに給食用の雪見大福はあるのですが(笑)、私は出したことはありません。保健センターで、母子の食事相談を受けているときに散々甘い物は控えるように伝えてきた自分が自ら甘い物を給食に出すということに抵抗があったからです。一年目は既製品のデザートをつけることが多かったですが、学校全体で環境教育を進めるにあたって、ゴミの出る既製品デザートは給食に出すのに適切ではないということを学びました。給食はあくまで教育の一環。子どもの嗜好に偏らない姿勢が大切です。

自校式の中学校勤務だったため、関わったのは中学生だけですが、嗜好は毎日の給食残量で把握することができました。学年間に差はありましたが、調整しないとご飯の残量が多い学校でした。カレーの日を除いて(笑)。カレーはいつの時代もやはり人気メニューです。
また、主食・主菜・副菜が揃えやすい和食中心の給食がベストとは思っても、1食の食材数も多くなること、そして残量の多さから実行するには至りませんでした。そこで給食の食品構成より、魚料理のレパートリーも増やすことを試みました。学校に来て1年目で、ベテランの調理員から「魚を煮ている学校なんてどこにもありません!」と言われてしまいました。そこでへこたれる私ではありませんので、ネットで調べまくり、次年度には初煮魚として「鯖のソース煮」を提供することができました。このメニューは保護者の給食試食会でも大変好評でした。

私が勤務していた学校と他の学校と比較のしようもないのですが、振り返ると保護者の給食に対する関心も大きかったように感じています。前述した年に一度の保護者試食会が開かれますが、「給食のレシピを教えてください」と声が多数寄せられました。給食を自宅で再現したいと考える方がたくさんいらして、毎日の給食提供も無駄ではなかったと再確認することができました。
ただ、大人にも子供にも言えることですが、行動変容ステージでいう無関心期の方にどのようにアプローチしていくのかというのが、これからの課題となる予定でした。 なぜか、後がないように感じていたので今年の3月に実施した試食会で保護者のみなさまよりリクエストされた給食レシピは、3月中に給食だよりに掲載して発行しました。


行政栄養士はネットワークの核になれるはず!

そして、今年再び行政栄養士に戻ってきました。主担当業務は食育推進計画策定です。第二次策定の当たり年に戻ってくることとなりました。今はひたすら国や県の計画との整合性を図るために、本市の計画と合わせて3つの計画とにらめっこしている毎日です。

学校と行政の異動を経験して、まだまだ同じ職種でも職域を越えた連携の不足を感じています。食育の中心は家庭と言われていますが、家庭での食育がスムーズに推進されていくためにも栄養士が職域を越えてガッチリと連携していくことが不可欠だと思います。

私の数年前からの野望(笑)は、市内で勤務している栄養士のネットワークを確立させることです。職域ごとの得意分野を突き合わせて仕事をしたときの力の大きさや効率の良さを考えただけでワクワクしてきます。行政栄養士はその中心となっていくポジションといって間違いないと思っています。新職場に移って、まだ1か月。今はまだ小さな一歩を歩み始めたところですが、いつか食育を展開できる大きな核を確立できるよう突き進んでいきたいと思っています。


次回予告

山田 みゆきさん ⇒ 常泉 由砂さんへのバトン
「モコスケさんのプロフィールに書いてある「栄養士ときどき事務になりたい!」という思いが、自分が予防接種担当をやっていたときの思いとかぶります。モコスケさんが日常業務で感じていることや、これからの展望についてたっぷり語っていただければと思います♪」とのこと。
次回をお楽しみに!

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