特集-リレー連載

タイトルどおりSNS保健指導向上委員会の現場に関わる会員の方を中心に、リレー形式で連載記事を執筆いただく企画。毎回、執筆いただいた方に「次はこの人にこれを聞きたい!」をお聞きし、バトンをつないでいきます。

第38回は、大津 智子さん⇒川村 千穂さん へのバトンです。

第38回
「あなたと描きたい保健指導☆」

管理栄養士・病院勤務
川村千穂(かわむら・ちほ)

高校から理系だった私は獣医に憧れるも能力全く及ばずで受験失敗。両親の大学は出てほしいとの希望でなんとなく2次試験で受けた大学を卒業し、管理栄養士に。16歳頃まで栄養士の存在を知らなかったのに(笑)。
好きな事で職に就きたかった当時の私は、獣医がダメならと音楽関係の道を志す。レコード会社は有名大学でもなんでもない私には難関で、箸にも棒にも引っかかるわけもなく、
歯科助手のバイトを経て何故かTV局受付嬢に。なんだかお当番としか思えなかった受付業務から“仕事”をしたくて病院栄養士に転職。
5年勤務後、病院勤務の理不尽さと音楽の道を経験したくて、CD関係の会社にまたまた転職。自分の中での“働く事”の目的を考え直し、そして再び病院栄養士に。どうやら医療は嫌いではない!

川村千穂さんからのひとこと
まさかバトンが回ってくるとは思いませんでした(笑)。行政や大企業に関わっていたり、肩書きのある皆さんや、“保健師になりたい”“看護師になりたい”“栄養士になりたい”といった皆さんと違い、志も無くなんとなく栄養士になって、働く気すら無かったのに。経験だって中小規模の病院勤務なのですから。でも、きっとそんな人も、実はこの世界にいっぱいるんじゃないかなあ…。他の人がどんな事をしているのか分からない世界だから、私が経験したこと、考えていることを読んでいただき、うんうんと共感したり、そんな事してるの? プププと思ってもらえれば幸いです。そしてエリート街道で無くとも、こんなふうに保健指導している人いるんだなーって、少し安心してもらえればと思います。

事件は現場でおきている!?  栄養士修行時代

栄養士として初めて勤務したのは救急指定病院。外科・脳外科中心の中規模総合病院。
経験も無いのに管理栄養士というだけで、右も左も分からないまま、栄養部門の責任者の座に着かされました。しかもこのご時世にPCの無い病院で、献立も発注も、荷重平均すら、手計算・手書きの世界。ボールペンは月一で消費されていました。さらに、病院食はトロミ剤や治療食品などを使わず、既製品も使わない手作りの食事を提供しており、救急車がやってくるたび食数は変わり、治療食が増えては献立を早急に作ることに。また、目新しい献立を作れば調理師とぶつかり、調理を失敗されては即座に計算し差し替え食材の指示を出す。今から思えば、いい修行でした(笑)。まさに臨機応変とはこのこと、という現場を経験することができました。


実体験は、“伝える”事の手段の一つ

当時、栄養指導も行いましたが、依頼件数も少なかった事もあり、指導内容はもう学生さんのシミュレーションレベルだったのではないでしょうか。栄養指導前日に疾患を復習し、発症の仕組みやらそれに対する栄養素やらをぶつぶつ唱え、それを患者様に教科書を読むようにお話しする始末。果たしてどれくらいの患者様が理解してくださっていたのか? その頃はまさか今のように保健指導をする日がやってくるとも思っていませんでした。栄養指導は、知識を植えつけるのではなく、やってほしい事、理解してほしい事を“伝える”という事が大切だと気づくのは、再び栄養士として働きだしてからの事でした。

最初の病院勤務をしている頃、実はこっそりDJの卵、いや卵のたまごくらいの事をしていた時期がありました(笑)。DJは、まさしく“言葉で伝える”お仕事ですよね。もちろん卵のたまごに、プロの話術なんて無いのです。じゃぁリスナーに伝えるのには何が一番効くでしょう? うわべで喋るのではなく、心(気持ち)がこもったトークが一番人に届いたのです。

“今世間では●●がはやってますよねー。すっごく売れてるみたいです。便利ですよね”
というよりは、実際自分が足を運んで手にとった感想
“今流行ってる●●、早速今日GETしました!いや、あれ、マジすごいっすよ。超便利!!”
こう話せるほうが真実味があって話術が無くても上辺で話すよりは人に届くのです。

本当は寒いと思ってないのに
“今日は一段と寒い日ですね。皆さん大丈夫ですか?”
よりは
“今日は寒いと聞いたので、ばっちり防寒でしかも車に乗っちゃいました!おかげで寒さは感じなかったけどみんなどうでした?”
と、実体験を話した方が心のこもった言葉でリスナーの耳に入るということを、現場から体得しました。

バトンを渡してくださっためいさんが「まず自分で試してみようという勉強熱心」と言ってくださっていますが、実は勉強熱心でもなんでもなく、技量の無い私が対象者に“伝える”事の手段の一つとして、実体験をしてみているのです。
ビターチョコが血糖値を上げ難いと聞いたなら自分で食べて血糖を測定してみますし、対象者さんが流行の“ヨーグルト黄粉”を食べているといえば自分も食べてみます(ちなみに私には不味かったです・笑)。漠然と「ヨーグルト黄粉は、別に無くていいですよ」というよりは、「私は食べたら美味しくなかったけど、健康のために頑張って食べているのですか? お食事がきちんと出来ていれば必要以上に食べなくていいですよ」って、気持ちをこめて伝えられ、相手に届くと思うのです。


心に寄り添うこと、そして話しやすい雰囲気づくり

保健指導、栄養指導でもう一つ心がけているのは、出来るだけ相手の心に寄り添うこと。対象者様はどう考えどう思っているのか。特定保健指導に関しては、職場では現在国保分を請け負っています。自営業の方がほとんどですので、やってくる方も様々です。お会いするのも初めてならデータも初見です。一般の方がイメージする“保健指導者”らしく見えない私(笑)。それを逆手に堅苦しくなく、話しやすい状況を心がけています。誰だって初対面の知らない人に根掘り葉掘り聞かれて、ウンタラカンタラと指導されるのは楽しくないですもん。女性には美容ネタであったり男性なら流行の食べ物であったりエッセンス的に取り込んで“もう来たくないな……”という事を回避します。

指導ツールも手作りばかりなので敢えて“可愛い”仕様で作ってみたり、書き込みのあまり無い用紙にしておいて、一緒に書き込んでいったりと、こちらも予算や時間がないことを逆手にとった工夫と味付けをしています。
次の面接時に「この間の作ってみたよ」とか「試してみたよ」という報告や「今度はこういうのあるけど知ってる?」という対象者様からの発信と共に「ちょっと痩せたよ」とか、「調子が良くなってきたよ」という報告を受けられるのはやはり嬉しいです。

はたから聞いたら指導というより雑談に近いかもしれません。時には人生相談のようになる事も……。対象者が何でも話してくれるようになった分、話がふくらみすぎて時間がまとまらなくなるのは今後の課題だと思っています。もちろん、基盤となるもののスキルUPも必要ではありますが…。


このSNSを情報共用・交流の場、そしてスキルUPツールとして活用

ところで、多くの病院栄養士は私のように一人体制の方が多いのではないでしょうか?
病棟・外来・食事etc…保健指導のみに従事する事はできません。その分時間もゆとりが無かったり、講習会や勉強会の機会も少なくなかなかスキルUP出来ない状況にあったりするかと思います。栄養士の稼ぎではなかなか自費でたくさんの講習会に出向くのは困難です。基本は行政や栄養士会・メーカーが行なう無料の講習会や格安参加費の勉強会で、都合が付けば参加する程度です。その時得た事を自分の物にするためにも、何事も試してみます。そしてその事を、このSNSに日記として書けば、自分の記憶にも残りやすいですし、記録にもなります。さらに他の方のご意見や知識もお伺いできるという、ここは素敵なスキルUPツールです。

保健師さん・看護師さんからの視点とか、他の人の考え方ってすごく勉強になりますから。もっとたくさんの人が体験や事例、発見を書いて貰えれば、私のスキルUPツールでもあるこのSNS自体もスキルUPができますし(笑)。出来れば同じような境遇の人の工夫や苦労を聞いてみたいです。折角登録したのに活用していない方には是非、記事を書いていろんなメンバーと交流してみて欲しいですね!


次回予告

川村 千穂さん ⇒ 形山 由紀さんへのバトン
委託で病院に勤務していたとお伺いしているのですが、現在保健指導機関に勤務されていらっしゃいます。病院栄養士からすると、保健指導というのはふってわいてきたような業務で、それを専属で最初からやりたいと思っていた人ってわずかだと思うのです。その転向の動機とか、実際に就いてみて感じた事や思った事等お伺いしたいと思います。
次回をお楽しみに!

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