特集-リレー連載

タイトルどおりSNS保健指導向上委員会の現場に関わる会員の方を中心に、リレー形式で連載記事を執筆いただく企画。毎回、執筆いただいた方に「次はこの人にこれを聞きたい!」をお聞きし、バトンをつないでいきます。

第39回は、川村 千穂さん⇒形山 由紀さん へのバトンです。

第39回
「透析病院で出会った患者さんたちへの恩返し 〜保健指導で予防したい!」

管理栄養士
形山由紀(かたやま・ゆき)
栄養士養成施設を卒業後、社員食堂を中心にサービスを提供している給食委託会社に2年、その後病院、高齢者福祉施設を中心にサービスを提供している給食委託会社に9年勤務。
現在、数社のアウトソージングの会社や派遣会社に登録し保健指導に従事、また糖尿病専門クリニックと総合内科クリニックにて栄養指導も行っている。

形山由紀さんからのひとこと
川村さんから、委託会社から保健指導業務への転向の動機などをお伺いしたいとバトンをいただきました。皆様にお知らせするほど、大した内容ではないのでバトンを受け取るのを悩みましたが、今でも連絡をくれる前会社の後輩栄養士の参考になることがあるかもしれないと思いバトンを受けとりました。ちなみに川村さんの連載がアップされた日に後輩と久しぶりに会いました。きっとこれも何かの縁だと思っております。

透析専門病院で働いた2年間がすべてのスタートに

給食委託会社とは、病院を例にお話しすると、献立作成や調理・配膳などについて病院が外部に委託し、給食委託会社はその病院に栄養士や調理師を配置し管理するということを行っている会社です。
委託内容は、病院との契約によって異なりますが、献立は病院の管理栄養士さんが立て、調理や配膳下膳などを担当する場合と、献立作成から下膳まで病院給食すべてを委託会社が担当し、病院栄養士さんは栄養指導など臨床のみに携わる場合があります。

私は病院、高齢者福祉施設を中心にサービスを提供している給食委託会社に入社し、当初は透析専門病院に配属されました。
透析病院に行って一番びっくりしたことは、足が切断されている方がたくさんいたことです。糖尿病が悪化して透析になった方が多いので当たり前かもしれませんが、実際足がない方をたくさん見るというのは思った以上にショックでした。
管理栄養士の資格を持っていて今更と思うかもしれませんが、本当に糖尿病の合併症というのは怖いのだなと思った出来事でした。そしてこんなにたくさんの方が本当に足を切断してしまうのだということに大変驚きました。

透析の病院は入院患者さんがそれほど多くなく、また長期入院の方も多かったこともあり、患者さんとはいろいろとお話しする機会がありました。こちらの病院では、献立作成から下膳まで病院給食すべてを担当していましたが、魚の煮つけを出した後、患者さんより「おいしかったけど魚の骨が見えにくくて食べるのが時間かかって大変だったわ」と言われたことがありました。
現在は、病院・高齢者福祉施設では骨なし魚を使っているところが多いかと思いますが、その当時、骨なし魚は、種類も少なく値段も安くありませんでした。しかし、糖尿病性網膜症で目が見えにくい患者さんが多い中、なんとかしてあげたいと思い、骨なし魚を導入しました。
七夕やクリスマスなどの行事食の時に一緒におつけするカードは、目が不自由な方でも触っても分かるようにと、折り紙で作りました。
通常のお食事も患者さんのご意見を取り入れるようにし、また透析病院では珍しく週1日ですが選択食も導入しました。(常食では取り入れている病院は多いかと思いますが、治療食、特に透析食で選択食を取り入れるところは少ないのではと思っております)。

この2年間、患者さんととても良い関係を作れ、私の中では家族のように患者さんを大切に思っておりました。とても充実した2年間でした。
その後、いろいろな病院、高齢者福祉施設で食事を提供する機会に恵まれ、いろいろと勉強になりました。病院・高齢者福祉施設から頂いた給食費内でやり繰りして安全で美味しい治療食を作る、すごく楽しくやりがいがありました。一生この仕事を続けたいと思っておりました。私にとって給食委託会社の仕事は天職と思っておりました。


透析患者さんへの思いを保健指導へ

仕事を辞めた直接のきっかけは、右腕に痛みと痺れが出てきて日常生活に支障がでてしまったことです。原因は不明です。簡単には治癒しないと判断し、天職だと思っていた給食委託会社は潔く辞めました。(1年間リハビリを行い現在は治癒)

仕事を辞めて時間がある中、次はどんな仕事ができるか考えていました。
やはり管理栄養士の資格を生かしたいし……。
そんな中、保健指導の仕事を見つけました。管理栄養士が予防に携わることが出来るという点で保健指導に惹かれました。透析の大変さを伝えたいと思ったからです。

透析専門病院にいたときに
「糖尿病が悪化すると透析になるかもしれないなんて誰も教えてくれなかった。」
と言っていた患者さんがいました。
本当に聞いてなかったかどうかは別としても、知らなかったのはかわいそうです。保健指導の仕事をすれば、そのような患者さんを少しでも減らすことが出来るのかもしれないと思いました。

透析専門病院にいた、両足切断になってしまっても明るく話していたおばあちゃん、行事食で作る折り紙のカードをいつも喜んでくれ、「あんた幼稚園の先生になれそうだね」と言ってくれた目がほとんど見えなかったおじさん、すごくお金持ちなのに面倒を見てくれる家族がいなくずっと個室で入院していたおばあちゃん、肉が大好きで週1日の選択食では必ず肉を選んでいたおじいちゃん、足を切断しなくてはいけないかもと言われたら精神的に落ち込み食事が摂れなくなりそのまま亡くなってしまったおじさん、いろいろな方がいました。

この方たちすべてが「糖尿病が悪化すると透析になるかもしれないなんて誰も教えてくれなかった。」と思っていたわけではないと思いますが、もしかしたら誰かがもっと詳しく病気のことを教えてくれたら……と思っていたかもしれない、もうこの方たちのためにお食事は作れないけれど、今度はこの「糖尿病が悪化すると透析になるかもしれないなんて誰も教えてくれなかった。」と思う人を少しでも少なくする仕事をしてみたいと思い、未経験の保健指導の仕事に飛び込みました。


助言をもらったり仲間づくりができるSNS

保健指導の仕事をはじめた最初の1年は、リハビリも行っていたため仕事量もそれほど多くなく、また与えられた仕事をこなすだけで精一杯でした。2年目に入ったころに右腕も完治し、仕事量が増えてくるにつれ、壁にぶち当たることが多くなりました。果たして私はこの仕事が向いているのかしら、と悩み始めました。
前の仕事では人間関係の悩みはあっても、仕事は常に自信を持って取り組んでいたので、やはり私は保健指導の仕事は向いていないのではと思い、前職に復帰を考えたこともあります。

そんな中、こちらのSNSを見つけることが出来ました。今までインターネットは見るだけで書き込みなど一度もしたことがなかったので、SNSに登録して日記を書くのはとても勇気がいりましたが、いろいろと皆さんからコメントを頂きとても嬉しかったです。当初の日記ではコメントが130超えたことも!! 私の貴重な財産です。
おかげで前職に復帰したいという気持ちもなくなりました。
まだまだ保健指導は未熟ですが今保健指導を続けていられるのも、このSNSで皆さんに助言をいただいたり、オフ会で皆さんとお会いできたりしたおかげだと思います。本当にありがとうございます。
最後に、こちらのSNSが今後も末長く続いてくれ、私のような初心者の助けになってくれることを願っております。


次回予告

形山 由紀さん ⇒ 駒井 公子さんへのバトン
保健指導も行いつつ第一種衛生管理者試験にも合格され、またパン教室も開くなどいろいろと挑戦されており尊敬します。京都オフ会で頂いたパンとお菓子とても美味しかったです。駒井さんの保健指導の状況や、日々挑戦されていること、頑張られていることなどを教えてください。
次回をお楽しみに!

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