特集-リレー連載

タイトルどおりSNS保健指導向上委員会の現場に関わる会員の方を中心に、リレー形式で連載記事を執筆いただく企画。毎回、執筆いただいた方に「次はこの人にこれを聞きたい!」をお聞きし、バトンをつないでいきます。

第41回は、駒井 公子さん⇒河村 久美さん へのバトンです。

第41回
「様々な分野の経験から、特定健診・特定保健指導を見つめて。」

河村久美(かわむら・くみ)
(SNSハンドルネーム:かなこ)
総合病院で看護師として3年、臨床経験をした後、保健師免許を取得し某市町村保健センターに就職。市区町村保健師で働いた後は、一時離職して約10年間、在宅保健師で地域保健や職域・産業保健、介護保険を経験。特定健診・特定保健指導が始まったと同時に現職場である国保組合で、同業務に携わり、今年で6年目になる。

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河村久美さんからのひとこと
駒井さんからいただいたバトンの内容は、特定健診・特定保健指導に携わる中でどういう指導をされているのかを聞いてみたいとのこと。このバトンを受けとった時は自分で受けたがん検診で異常が見つかり、精密検査中でした。不安定な時期できちんとしたことが書けるのか、戸惑いもありました。しかし「不安定な時期こそ見つめなおそう」という思いから、二つ返事で引き受けました。お返事になるかはわかりませんが、働き方を含め自分自身のことを振り返りながら、そのときどきの「気づき」をもとに、いまの特定健診・特定保健指導で思うことなどを書いていきたいと思います。

保健師さんって何する人?に、私が「気づき」を得るまで

卒業後、病院に就職し、働きながら勉強して看護師免許を取得。約3年の臨床経験を積んだころ、病院勤務とは違うかたちで、医療の延長上にある仕事をしてみたいという思いから保健師を目指すようになり、保健師学校の進学とともに病院を退職しました。

保健師免許取得後は、地元の市町村保健センターに就職しましたが、卒後教育や新人フォロー体制がしっかりしていた病院とは違い、なれない事務や業務や指導は、ほぼレクチャーがなし。そのまま体当たりで実践!!の毎日に戸惑いを感じ、時には失敗し、驚きと動揺、さらに愕然として情けない思いをすることもしばしばありました。

年数がたつにつれ、新生児訪問や乳幼児を通して、健診で子供の健康を地域で守る役割や、がん検診や生活習慣病基本検診などを通して、地域に住む人々の健康を守ると同時に、暮らしを支えることを自然に学んでいきました。地域の中でありふれた生活の中で住民の健康を当たり前に守る、という役割は学びましたが、単純な理由で保健師を目指した私には、「病院での医療」と「地域の健康活動」とのギャップはそう簡単に埋まるはずもなく、また、追い打ちをかけるように先輩保健師との摩擦や妊娠・出産前のストレスから、結局3年で退職してしまいました。

退職後、第1子を出産して1年は育児や家事をして過ごしてきました。「これから病院に戻って再就職しようか…」と思い始めた矢先に「今、人がいないから母子の健診を手伝ってよ」と元同僚からの連絡があり、言われるがまま手伝いに行ったことから、私の在宅保健師活動が始まりました。


在宅保健師で得た新たな「気づき」

子育て最中だったため、非正規で都合のよい時間という選択のなか、仕事の中心は乳幼児健診や予防接種。赤ちゃんとママが対象のため、子育て中の自分の体験と、仕事の内容が完全にリンクしていて面白い! そして、やりがいを感じるようになりました。手伝いにいった先での幼児健診で明らかに子供の様子がおかしいわけではないけど、「なんとなく気になる」子供を見つけました。しかし、母親は気になることは多々あるけど、深く思いつめていない様子。相談の場で子供の日常生活を確認しながら、恐る恐る母親に現状を伝え、医療機関受診と同時に子供の生活リズムを見直すことも伝えました。その後、担当は現場の保健師に変わりましたが、その方から「あの時言われたことを見直してよかった。今は普通にやっている」と人伝えに聞いてこちらも喜んだことがありました。そういった経験を重ねるうち、それまでの私に足らなかった、「今相談している方の身になり話を聞いて、その人のこれからどうなりたいのかを想像、確認しながら助言する」ことに気づきました。
気づいたとたん、市区町村保健師を退職したことを悔みました。長い間、こんな気持ちが続きましたが、そんなことはいざ知らずか、在宅保健師の仕事があちこちの市町村や企業から舞い込むようになりました。

母子保健にとどまらず、公務員時代では未知の世界だった(現在の特定保健指導の前身の)産業・職域保健で従業員の保健指導をする仕事。そこでは主に定期健診後の事後指導を行っていました。ある保健指導の場で、健診結果を自らの手で改善し、自分で決めた生活改善を長きに渡って継続している方が見えました。「どんなきっかけから、ここまで続けてこられたのですか?」とのその方に問いかけたことがあり、「今後の自分のために生きていたいから続けているんですよ」と答えをもらったときは、目からうろこが落ちた感覚でこちらが逆に気づかされたことがありました。

また、介護保険が始まりケアマネージャーを取得、当時は誰もが駆け出しで手探りだった認定調査員で訪問に出かける傍ら、産休代理で福祉課に介護保険諸事務や窓口業務に携わり、席を離れたら現住所地で介護認定審査会に審査員として出席する(笑)、まさに介護保険制度を知りつくすかのような貴重な経験もしました。介護認定審査会はそれまでの経験がものを言い、引き受けてから10年目になり、現在も続いています。

非正規という立場、仕事量が増えるにつれ、収入も含め「在宅保健師としての自分の働き方」そのものに不満やジレンマを感じることも多々ありました。
しかし、それぞれの分野で保健師として対象や年齢・特性、生活背景に応じた「今相談している方の身になり話を聞いて、その人のこれからどうなりたいのかを想像、確認しながら助言する」支援に携われ、それがどの分野に行っても不変であるという気づきを得て、同時に自分自身が成長する機会に恵まれたことが、今おかれている立場で指導を行っていく上では自分の糧となっています。

こうした仕事・働き方ができるようになったのは、もとはと言えばきっかけを作ってくれた元同僚らやその場所で出会えた方々。こうした皆様に深く感謝し、この場を借りてお礼を申し上げます。


特定健診・特定保健指導の行っている現状での「気づき」

先輩である前任保健師の依頼を受けて、フリーの立場でありながら、週のほとんどを現職場で特定健診・特定保健指導を行うようになって早6年。当初は新天地で、主業務である人間ドックの体制も整ったばかり、一人職場に加えて特定健診・特定保健指導は、いわゆる「型紙」のない状態から始まりました。一人職場の私にとっては、多くの情報を共有したいという思いで、そしてここのSNSにたどり着きました。多くの情報やたくさんの気づきが得られる貴重な場所でもあり、今ではフルに活用しています。

日常の業務はドックや各健診→結果読み取りと階層化判定→結果発送・個人勧奨→(特定保健指導を含む)保健指導→分析と評価→報告というように、間に介護認定審査会の仕事を挟み込みながら、ほぼルーチンワークのように1年が流れていきます。

紙面でまとめてみると我ながら、地味で単調な仕事だなぁとさえ感じてしまいますが、特定健診・特定保健指導の対象外の方たちにもほぼ、同じ対策を行っているため、各年代で健診受診者が増えれば確実に業務量が増える(笑)、そして落ち着く間もなく、増え続けている状態です。ことに特定保健指導外の対象者は、今後対象者へと必ず移行してくるため、40歳から健診を受け始めて、生活習慣を見直すのはすでに遅いように思います。
「自分の健康を守り、元気に働く。」の意識付けと40歳以降の生活習慣病などの疾病の早期発見・早期予防を目標に行っています。

所属する国保組合という保険者は、年度ごとによって、被保険者の年齢構成や年代の特性、有病率や健診結果や背景になってくる生活習慣状況、被保険者個人の仕事の有無や仕事量の多い少ないなど現状は大きく変化してきます。
その中で対象者の「何を真っ先に把握して大切にする? あるいは伝えていくのか」を絞り込んで、優先度をつけることは、特定保健指導を行っていく上では欠かせません。それが個人であろうと集団であろうと軸になる思いは一緒であるということ。
特定保健指導は保険者単独での力ではできないため、1年かけて得た情報を共有することで委託された側の協力も得られやすいと考えます。何より健診を受けたことによって受診された方の体の気づきや振り返りになるのではと考えます。
集団においても個々においても、現状を知る上でもそれ以前の状態を読み取らなければ正しく把握することはできないし、また将来的にどうありたいのか、「今後の自分のあるべき姿」への意識づけ、それがあるのかないのかで個々の健康を大きく左右するものと思います。

これから特定健診を通してかかわる対象の方に、「自分の体は自分で守る。『今』の自分の状態に気づくことができたなら、自分の将来像も思ったように描けて実現できる。」ということを伝え続けていくこと。それがいつか年代を超え分野を超え、出会った多くの方々との共通の思いとなれたらと考えています。


次回予告

河村 久美さん ⇒ 森 佐矢香さんへのバトン
sayaさんとは昨年のオフ会でお会いしました。SATを熱心に学ばれていますが、自身がされているカウンセリングを含め特定保健指導などの思いが聞けたらと思います。拝見することで、新たな気づきがあるかもです(笑)
次回をお楽しみに!

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