特集-リレー連載

タイトルどおりSNS保健指導向上委員会の現場に関わる会員の方を中心に、リレー形式で連載記事を執筆いただく企画。毎回、執筆いただいた方に「次はこの人にこれを聞きたい!」をお聞きし、バトンをつないでいきます。

第46回は、山越 さつきさん⇒村田 陽子さん へのバトンです。

第46回
「なぜ、開業保健師協会なのか?」

村田 陽子(むらた・ようこ)
(SNSハンドルネーム:yohko)

富山県生まれ、静岡県御殿場市、石川県金沢市で育ち。自衛隊中央病院高等看護学院卒業。北海道立衛生学院保健婦科卒業。自衛隊札幌病院透析室勤務。朝日新聞健康管理室、HOYA健康管理室で健康相談、健康教育の業務に携わる。1990年より、フリー保健師として企業研修、医療職研修、健康づくりアセスメントの開発など多方面に活躍。講演などの仕事で全国をまわり、すべての都道府県を制覇。

1995年7月、ビーイングサポート・マナ設立。代表取締役社長。2001年11月NPOまなネット設立、2013年2月NPOまな市民後見セーフティネットに名称・定款変更、理事長。2013年2月一般社団法人日本開業保健師協会設立、会長。

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村田陽子さんからのひとこと
山越さんから「開業保健師の会や起業保健師としてのパイオニアとして……」とご紹介にあずかりました。私も山越さん流にいうならば「勢い」と「出会い」で今の自分があると思います。 多くの人との出会いでさらにいろんな動きが起きています。

独立前、無意識にされた開業準備

保健師としての基盤は、母校の北海道立衛生学院保健婦学科でつくられ、産業保健の現場で培われました。
1995年、たいしたビジネスモデルも無いままに独立、個人事業主になりました。ただ、振り返ってみると、知らないうちに独立するための準備と、その要素はあったのだと思います。その3つを紹介します。

1つめは、人のやっていない事をしたがる性格。この例は高校生から今に至るまでありますが、またの機会に譲りたいと思います(笑)。

2つめは、産業保健師をしているころから、自分の保健指導に対して、「自分でお金を出しても受けたい」と思ってもらえるくらい価値のあるものにしたい、というプロ意識。プロとしての保健師の仕事をしたいという思いが強かったと思います。

3つめは、保健師という役割だけでなく、「このことなら村田に」と指名してもらえる自分らしさのある仕事。その当時は、自分の強みを何にしようかと、いろいろと探しました。栄養士の勉強をしてみようかと栄養大学の資料を取り寄せたり、インテリアコーディネーターになろうかと調べてみたりしました。結果、たどり着いたのは健康教育でした。その頃は健康学習と呼んでいましたが、今でいうワークショップ型健康教室。対象者自身が手にしたい生活習慣を身につけるためのグループ支援を行うことでした。健康教育のスキルアップのために行動科学や心理学を学び、勤務先の会社の中では「健康教室なら村田に」といわれるようになりました。他の健康保険組合や企業へも保健師仲間のお誘いで講義をさせてもらうようになりました。

さらに、健康教室を行う保健師さん向けにワークショップの持ち方や、対象者自身が自らの健康行動を決めるための健康相談を行うスキルを教えてほしいと保健師さんからいわれるようになり、こうした研修の講師をするようになりました。


何をきっかけに独立したのか

産業保健師として企業で週2回、保健指導や保健事業の提案、安全衛生委員会への提言などの仕事をさせていただきました。それと、保健師さん看護師さん向け研修講師の仕事をする個人事業主になりました。
産業保健師の仕事は生活の安定を、研修講師の仕事は刺激と保健師さんたちとの出会いを、与えてくれました。同時に時間の余裕ができたので、今までしてきたことをまとめてみたくなり、また大学で教えるときの教科書として「指導者である前に支援者であれ」を執筆。自費出版しました。

開業して5年を過ぎた頃、お仕事を頂いていた企業から、これ以上の事業契約は法人とでないとできないと言われたのをきっかけに有限会社を設立しました。会社名を決められず、1年ぐらい設立にかかった記憶があります。そのようにして生まれた会社も、今期19期目を迎えています。開業してからは24年目です。


2013年2月 一般社団法人日本開業保健師協会設立

きっかけは昨年2012年1月ごろのことでした。突然、大阪で開業して活躍している“踊る保健師”徳永さんから「今、仕事で東京にいるのですが、夕方にお時間ありますか」という一本のメッセージからでした。たまたま事務所で仕事をしていた私は、一度お会いしたいと思っていたので、時間があるならと、六本木の事務所までおいでいただきました。
そのときに、「全国で開業している保健師も増えてきたようなので、お互い情報交換などできたらいいね」ということになり、「開業保健師の集い」を行うことを即決しました。大阪と東京、どちらで行うかを話し合い、第1回目は東京、2回目は大阪でと、その場で、第1回、第2回の日程を決めてしまいました。

しかし、本当のきっかけは2008年に一人の保健師が開業保健師に取材して回り論文にまとめたことかもしれません。その保健師が押栗さん。彼女が「点」の開業保健師を「線」で繋ぎ始めたように思います。

昨年の10月東京で第1回開業保健師の集いを行いました。お互いの事業内容の紹介、課題など自由に話し合い、コラボしてくれそうな企業さんたちも呼んで交流会を行いました。半日で意気投合、2日目には一般社団法人日本開業保健師協会を立ち上げることを決定。その目的と趣旨を決め、定款作成と今後についての打ち合わせをしました。

私が開業保健師の組織化が必要を感じたのは、信頼を高めたいという思いからでした。一人ではどこまで事業に責任を持てるか不安に思うことも、組織になれば一人が倒れてもカバーできます。病気になったり家族の都合で仕事が優先できなかったりしたときに、助けてくれる仲間がいると、仕事先のクライアントはもちろん自分自身も安心できます。
そして、それぞれの強みや特技、得意分野をもった人たちが集まれば、自分の不得意分野を他に紹介することで、他の人に仕事を作り出すことができます。クライアントからのさまざまな要望へも応えることができ、信頼も高まります。さらに、全国的に組織化できれば、クライアントの支店にも同じサービスを提供するなど地域に仕事を広げていくことも可能かもしれません。
実際に「開業保健師協会」として10数名ではじめただけで、いろんな人たちから期待と一緒に仕事をしたいという声をかけていただいています。


開業保健師協会で私がしたいこと

今、私が開業保健師協会でしたいことが3つあります。
1つめは、「開業」のお手伝いをしたいと思っています。そのために開業した人、準備している人への研修会です。独立するためのスキルの支援はもちろん、個人事業主の届け出、開業準備の事業計画の立て方、事務所の準備から、ブログの書き方などです。

2つめは、「WEB保健室」です。ネット上で開業保健師の得意分野などを紹介する場をつくり、ネットからご本人とコンタクトできるようにして、開業保健師を身近な存在にしていきたいと思っています。そこからリアルな「街の保健室」につなげていけたらいいなと先々も考えています。

3つめは、「開業保健師の仕事の開拓」です。中小企業で産業保健師を雇えない企業に週1回や月2回でも開業保健師が保健指導、健康づくり、安全指導できる仕組みを作りたいと思っています。そのような企業を複数持つことで保健師も自分にあった働き方が実現するのではないかと思っています。そのためには産業保健師のOJTを行う事で産業保健現場に提案型の保健事業展開が出来る人材を育て、ジョブマッチングをしていきたいと考えています。

他にも開業保健師のためにサービスを提供しています。開業保健師協会の会員の方へ、保健衛生に役立つ商品、保険など割引販売をしています。行政書士、税理士、司法書士、弁護士などの紹介も行っています。開業保健師協会の会員の方に、禁煙サポートシステムや特定保健指導システムを使えるようにしました。さらに傷害保険にも団体として入れるよう準備しています。


開業保健師協会以外にもさまざまな事業を展開

実は今年の2月に今まであったNPOの定款変更を行い、6月に認証を受けました。「NPOまな市民後見セーフティーネット」として、任意後見制度と介護保険制度がマッチしていく仕組みを作っています。こちらは、認知症になってからではなく、認知症を予防することから仕組みづくりを考えています。認知症だけでなく高次脳障害やがん末期など自分で判断ができなくなったときにも安心できるようにと思っています。来年には一般に紹介できるよう、今年はパイロット版を作ってシミュレーション中です。

頭の中で、あれこれとどうしたら人が自分らしく、幸せに満足した人生を送れるのか、保健師さんが生き生きと仕事していくために、何がお手伝いできるのだろうか、そんなことを考えるのが楽しくて仕方ありません。開業してみたい人、プロの保健師として仕事をしてみたい人、ぜひ、お声かけください。私はあなたの夢を応援するのが大好きです。

お知らせ

「第3回開業保健師の集い」が10月5日、6日に東京の社団法人日本家族計画協会(東京都新宿区市谷田町1-10)さんの地下会議室をお借りして行います。

■10月5日
13時30分〜17時 「保健師が開業してみると」(保健師のジレンマの解消)
■10月6日
10時〜 「嫌煙サポートプログラムの紹介」
(禁煙パッチ、禁煙ガムの使い方、禁煙指導方法)
13時30分〜 「開業保健師協会会員向けサービスの紹介」
14時15分〜 「開業保健師とのコラボ企業の紹介」
15時30分〜 「開業保健師によるワークショップ」(内容検討中)
17時 終了

関心のある方はぜひご参加ください。詳細が決まりましたら、こちらのサイトでもお知らせします!


次回予告

村田 陽子さん ⇒ 押栗 泰代さんへのバトン
NPOマイママを立ち上げ、2013年10月から「ゆりかごタクシー」を始めるなど、私に取っても刺激的な保健師さんです。ぜひ押栗さんの夢を教えてください。
次回をお楽しみに!

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