特集-リレー連載

タイトルどおりSNS保健指導向上委員会の現場に関わる会員の方を中心に、リレー形式で連載記事を執筆いただく企画。毎回、執筆いただいた方に「次はこの人にこれを聞きたい!」をお聞きし、バトンをつないでいきます。

第48回は、押栗 泰代さん⇒松山 由美子さん へのバトンです。

第48回
「産後ケアを仲間とともに事業に 〜自分がほしかったサービスをつくる」

松山 由美子(まつやま・ゆみこ)
(SNSハンドルネーム:開業保健師☆松)

新潟県佐渡市(旧両津市)出身。新潟市で看護学校を卒業後、上京して大学病院に勤める。新潟へ戻り、病院で病棟勤務中に1年間専門学校へ進学し、保健師の資格を取得。その後は訪問看護ステーションに勤務。結婚し、出産を機に退職して専業主婦に。夫の転勤のため、引っ越しを繰り返す中、3人の子どもを出産。自分の子育ての経験から「母親のための場」を作りたいと考えるようになる。2005年保健師として開業(石川県)。「ベビーマッサージ」や「親子でヨガ」などの教室開催を継続。2009年新潟市へ戻り「はっぴぃmamaはうす」開設。
「はっぴぃmamaはうす」ブログ http://ameblo.jp/happy-mama-house/

<その他の活動・資格>
母子フィジカルサポート研究会准認定講師
日本メンタルヘルス協会 初級心理カウンセラー(再決断カウンセリング)
新潟市母子保健事業(乳幼児健診・こんにちは訪問)従事
育児支援センターでの「ふれあい遊び&育児相談会」を定期開催
新潟青陵看護大学 地域実習指導員
NSG国際こども福祉カレッジ 非常勤講師
産科クリニック「骨盤ケア教室」講師
看護職のためのホリスティックケアセンター(NHC)所属


SNS保健指導向上委員会 開業保健師☆松さんのマイページはこちら

松山由美子さんからのひとこと
前回ご執筆の押栗さんからは、「利用者負担が高額になりやすい産後ケアについて、実際の取り組みの具体的なところを聞いてみたい」と、リレーのバトンを受け取りました。新潟市で、開業保健師として活動している松山です。

「ママの笑顔、応援します!」

私が開業するきっかけとなったのは、ひろ助産院(石川県)との出会いです。この助産院は、助産師さんが複数いらして「助産院お産」や「自宅お産」を多く実践していました。出産直後の母親はもちろん、子どもが少し大きくなってからも、相談に来られる母親もいらして、多くの母親たちが集う場となっていました。お産を終えてすぐの産婦さんが「またお産がしたい」「助産院のお産は温かく気持ちよかった」と笑顔で話してくれました。

私自身は、べピーマッサージの資格をとるために、まず末っ子の断乳をと相談に行ったのですが、ここのベテラン助産師さんから、「大丈夫よ、資格をとりに行ってらっしゃい! 帰ってきたら、また飲むから大丈夫。」と、背中をポン!と叩かれたことが、大きな力となりました。

この助産院で幸せな妊娠出産、そして育児をしている母親たちに接したことで、妊娠中から産後間もない母親たちを支援し、この時期の母親が笑顔で過ごせること、産後ケアが虐待防止や少子化対策につながるはずと強く思いました。
この助産院との出会いから「ママの笑顔がいちばん!」をモットーに活動を続けるようになりました。当時、夫の転勤でいずれ引っ越すことを覚悟していた私は、この助産院のような場を、いつか地元の新潟にも作りたいとひそかな野望を抱くようになりました。


「はっぴぃmamaはうす」開設、「はっぴぃmama応援団」結成

地元の新潟へ戻ったのを機に、念願の「はっぴぃmamaはうす」を開設。母親向けの講座やサークルを開催していたところ、母親のために自分たちのできることを提供したいといろいろなメンバーが集まってきました。その仲間が「はっぴぃmama応援団」として活動しています。「はっぴぃmama応援団」のメンバーは、保健師・助産師・保育士・ファイナンシャルプランナー・心理学講座インストラクター・セラピストなどの専門職、そして「はっぴぃmamaはうす」へ通ってきていたママスタッフたちです。現在は、「はっぴぃmama応援団」のメンバーでサロンや講座を開いており、母親たちが集う場として地域の方々にも認知されてきました。
昨年度は、独立行政法人医療福祉機構社会振興助成事業「専門職による子育て支援事業」として採択を受け活動することができ、1年間で延べ700組ほどの親子が訪れてくれました。


学び続けること、そして「産後ケア事業」への取り組み

「産後ケア」をサービスとして提供していくためには、自分自身のスキルアップが必要と感じました。学びの場となったのは、母子フィジカルサポート研究会との出会い。赤ちゃんの身体活動について学び直すことができました。

また、「再決断カウンセリング」を学び、母親が自分の子育てや自分の生い立ちを振り返ることをサポートし、精神的負担の軽減に繋げられるようになりました。このように学び続けることで、母親を心身の両面からサポートし、より赤ちゃんと母親に寄り添うことができるようになったと感じています。

こうした日々のスキルアップを事業にいかした結果もあってか、利用者の方々へのアンケートなどから、私たちの活動が子育て中の母親の心身への負担を軽減させるというエビデンスを得ることができました。
「産後ケア」は、産後の早い時期から個々のサポートを充実させること、さらにサポートが必要な方に必要なサービスを届けることの大切さがわかり、まさに活動当初から感じていた「産後ケア」の重要性を痛感しています。

新潟市で行われている「産後ケア事業」は、医療機関などが委託を受け、自己負担額1泊10,000円〜20,000円で実施されていますが、子育て世代にはかなりの高額です。もっと安価で利用しやすく、母親のニーズに沿ったサービスがあったら……。それは、私自身が子育て中にほしかったサービスとも一致します。そこで考えたのが、宿泊型ではなく、日帰りのデイケアと、訪問ケアを実施することでした。出産直後の子育てのスタート時期に、赤ちゃんの抱っこの仕方や寝かせ方、沐浴の仕方や沿い乳の方法など、具体的な方法を知っていたら、母親はかなり楽になる。さらには、母親が腰痛などの症状から、思うように外出できないケースも多いので、その際には訪問して、母親自身のセルフケア方法を伝えることで、外出へつなげていくこともできます。

今年9月より、月2回のデイケアと訪問ケアをスタートしました。最も多い相談は、赤ちゃんの抱っこの仕方や寝かせ方、沐浴の仕方などですが、こうした相談を個別でじっくりと聞いてもらうだけで、悶々とした気持ちが晴れるという声が届いています。
スタッフは、「産後デイケア」は、保健師・助産師・保育士を含め4名体制で行っており、「訪問ケア」は、助産師または保健師のどちらかが1名で訪問しています。


事業運営における課題

この事業を開始するにあたって、最も大きな問題は資金でした。今年度は、昨年度に引き続き、独立行政法人医療福祉機構の社会振興助成事業としての助成を受け、事業を開始するにあたっての様々な物品も準備することができました。そのため今年度中は安価な価格で、対象となる母親の皆さんに提供できます。でも来年度からは、助成金が得られない状況での事業となりますので、収入源の確保が大きな課題となってくるでしょう。そのためには、会員制の導入や、民間の企業との連携など、柔軟性のある対応が必要だと考えています。
こうした運営上の課題とともに、産後ケアサービス以外にも取り組んでいる支援事業を継続していくには、収入源を確保として、利用者の自己負担の増額は免れない状況です。でも虐待防止の観点から、低所得者層などあらゆる母親が受けられるサービスとしていきたい。相反する状況をどう解決していくかが今後の課題です。

運営側としては安定して事業を提供するために、地域全体で支える事業として定着していけるよう行政や民間企業との協働も目指していければと考えています。最近「産後ケア」という言葉は、よく耳にするようになり、重要性も認知されてきています。ここ数年の内にも、国としても何かしらの動きが見られるとのではと感じています。ただ、私たちとしては、流行などではなく、専門職として、すべきこと、できることを一歩ずつ、確実に進めていきたいと考えています。


次回予告

松山 由美子さん ⇒ 三井 洋子さんへのバトン
会社を立ち上げられて来た中で、多くの保健師さんやクライアントに関わってきている三井さん。
とっても優しく暖かい雰囲気の三井さんに、保健師に必要なものやクライアントに関わる際の心構え、大切にしていることなど、日々、感じていることを教えていただきたいと思います。
次回をお楽しみに!

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